沖縄の自立型経済を構築するため、物流は観光に次ぐ産業として期待されている。目指すはアジアのゲートウェイ、海上輸送を中心とした国際物流拠点である。

また、国際物流とともに、沖縄県の物流も人口増加にともない需要が高まっている。

こうした状況のなか、沖縄の物流事情について、那覇地域貨物運送協同組合の理事長で、沖縄ト協の副会長も務める琉球倉庫運輸(沖縄県那覇市)の伊是名昇英社長に話を聞いた。

―沖縄県の物流の需要について教えて下さい。

コロナ禍や円安などの影響で、ここ3年間は全体の荷量が落ち込んではいるけれども、沖縄は人口が毎年増えているため、食品、日用品などを中心とした生活物資の需要は高まっています。
人が増えればどうしても食品関係が増えますから、観光も増えればもっと増えます。生活物資の大半を県外から調達しているので、海上輸送を中心とした物流の需要は伸びています。

生活物資のうち、野菜関係は、夏が暑い沖縄では野菜ができないので、九州や関西方面から送られてくるわけだけれども、ちょうどその頃は台風のシーズンでもあるので1週間程度、食品関係の供給が途切れてしまいます。

そのため、倉庫需要が伸びています。食料関係は、どうしても1週間から10日分はストックが無ければならないので、メーカーなどの大型倉庫がどんどん建ち始めており、地元企業も倉庫をつくっています。

―倉庫需要が高まっているとのことですが、沖縄県のどの辺りで開発が進んでいるのでしょうか。

倉庫が建てられているのは、那覇が一番多く、うちも港から約500㍍のところの立地条件が良いところに倉庫を持っています。那覇では港周辺の土地がかなり高騰していて、土地も無い状況です。

なので、最近は那覇から10キロ離れた豊見城市や郊外の糸満市などに建てられています。

郊外に新たな倉庫を開発していく上で、道路の整備も必要となります。沖縄は車社会なので、道路のアクセスが良くなければ開発も進みません。なので、沖縄ト協では、県に道路整備だけはどんどん進めて欲しいとお願いしています。

―沖縄の物流業界では現在、どのような課題や問題を抱えていますか。

やはり、人手の確保が大きな課題ですね。沖縄は本土と比べたら賃金も安いので、なかなか人が集まらない。ドライバーを募集してもほとんど応募がありません。外国人も、倉庫作業なら良いかもしれないが、ドライバーとして採用するのは難しいです。

一般的に沖縄では、ドライバーの平均年齢が高く、50代や70歳も現役でいます。20代は免許の問題もあって、なかなか応募がありません。そのため、協会でドライバー教育などの取り組みをやっているところです。

また、いま一番大きな問題となっているのが、燃料の高騰と電気料金ですね。冷蔵倉庫を持っている事業者も多く、電気料金はかなり厳しい状況になっています。電気料金は本土と比べたら非常に高く、凄く経費にかかるので、対策に追われています。

―社長が経営されている琉球倉庫運輸は一昨年創立50周年を迎えられました。

令和3年10月19日をもって創立50周年を迎えることができました。当社はこれまで、物流のスペシャリストとして様々な輸送手段を駆使し小口貨物から大口貨物さらに、特殊貨物の輸送まで安全・迅速に輸送してきました。

現在は、大手外食チェーンの沖縄での事業展開を一手に引き受けており、倉庫の管理からピッキング、配送まで全て行っています。こうした3PL事業は30年前から仕事が増えてきている状況で、当社は総合物流事業を行っています。

―沖縄の物流業界が発展するために目指しているものは何ですか。

沖縄の物流は海上輸送を中心に動いているので、国際物流拠点となることを目指しています。なのでアジアからの荷物を集約して本土に送るということが大きな課題となります。

現状は、沖縄が本土に送っているのは空コンテナなので、これに何とか荷物を詰めなければ運賃も安くなりません。アジアの拠点としては沖縄県の立地は良いので、実現できる可能性は十分にあると考えています。

◎関連リンク→ 琉球倉庫運輸株式会社