日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長の上西一美です。交通事故を起こした運転者、いわゆる事故惹起者のご指導を皆さんはどのようにされていますか?

まず1つ確認しておきます。事故惹起者の指導の目的は何でしょうか? 当然ですが、その運転者が二度と交通事故を起こさない事ですが、もう1つ大きな目的があります。

それは、他の社員が同じ事故を起こさないようにすることです。しかし、事故が多い会社では、そのような目的ではなく、分析と指導が目的になっています。

事故惹起者は、交通事故を起こす悪しき運転習慣を持っています。そして、その運転行動を変えないと、再び交通事故を起こしてしまうのです。

つまり、「指導しても運転行動を変えないと意味がない」ため、指導しただけでは交通事故はなくならないのです。

では、肝心の運転行動を変えるには、どのようにすれば良いのでしょうか? それは「納得させること」です。人は納得しないと行動は変えませんし、その習慣は説得や説教では変わりません。

 

そして、納得させるためには、「客観的な根拠」が重要となります。「客観的な根拠」とは、データや道交法などの法律です。よって、事故惹起者には、必ず客観的根拠を示して下さい。

さらに、もう1つ大切なことがあります。それは、「どのような運転習慣を持つか」を明確化することです。

人によって、運転の仕方や安全運転の基準は異なります。しかも、事故惹起者は、自身の運転が不安全だとは思っていないので事故を起こすのです。

よって、その運転のどこが問題でどう変えるのか? 具体的に伝える必要があります。例えば、車間距離をしっかり確保するとは何㍍なのか? 最徐行するとは時速何㌔㍍なのかなど明確化していかないと、「どのような行動が正解なのか」が分からないのです。ぜひ、客観的な根拠を示し納得させ、運転行動を具体的に示すことで運転習慣を変えて下さい。