働き方改革における労働時間の問題やドライバー不足などで、長距離の陸上輸送が難しいとされる中で、近年モーダルシフトが見直されている。近海郵船(関光太郎社長、東京都港区)では、敦賀港と博多港を結ぶ航路が今年4月1日で就航3年目を迎え、7月1日にはデイリー運航3周年目を迎える。同社大阪支店の大森泰範取締役・大阪支店長(写真右)と副支店長の松谷淳司氏に(同左)、同航路の実際の運用やメリットなどについて話を聞いた。

敦賀―博多航路は、月曜日から土曜日の毎日、敦賀港・博多港を午後10時に出港し、博多港・敦賀港には翌日の同6時に到着するスケジュールで運航。当航路の利用では発地(富山や石川など)を午後出発とすることができ、発地荷主の出荷スケジュールを変えることなく対応可能。着地への到着も同6時に博多・敦賀着のため、博多・鳥栖周辺であれば2日目中の到着が、九州全域は3日目の朝一到着が可能となっている。

 

松谷副支店長は、全線陸送からトラックやトレーラによる有人・無人航走に切り替えることのメリットについてこう話す。「有人乗船による航路の利用により、2024年4月からの時間外労働の上限規制に向け、適正な運行の実施によるコンプライアンスの確保が実現する。また、全線陸送による1回の長距離運行でその週の残りは、総労働時間の関係で近場の運行しかできなくなっている現状があるが、当航路の利用により、九州間の長距離輸送を請け負った上で、同じ週に中距離など+αの運行を充てることができ、週内の運行効率化に繋がる」。

 

さらに無人航走利用では、富山・石川から敦賀港までの運行時間は片道4時間以内となり、下船車輛の引き取り(関西などからの帰り車の運転・便乗)も併せて、1日の運転時間が8時間以内となる。ドライバーは長時間労働とならない上に、家に帰ることができ、若手ドライバーの確保がしやすくなるというメリットもある。その他にも二酸化炭素排出量削減など環境に配慮した輸送の実現という利点が挙げられる。

 

同社は内航船「省エネ格付け」制度において運航船5隻で最高の格付けを取得しており、環境問題に積極的に取り組んでいる。

 

さらに海上輸送は、平時の物流安定化はもちろん、災害時の輸送網の確保という観点もある。陸上輸送に比べ復旧が早いのは大きな利点だ。例えば2018年の西日本豪雨では、幹線道路が土砂崩れで寸断されたほか、鉄道も被害を受け物流が一時ストップするという事態に陥った。その際に注目されたのが海上輸送だった。

 

運送業の労働環境を改善する取り組みの1つとして、今後もモーダルシフトは伸びていくことが予想されている。大森取締役は、「北陸から航路利用で九州へ行くという発想がないという事業者の方もまだまだ多い。我々の使命は、運送事業者の方の労務管理のお役に立つこと。敦賀―博多航路はこれまでにない航路であり、弊社の1つの強み。我々は今後も航路を使いやすい環境を提供していきたい」と話した。

◎関連リンク→ 近海郵船株式会社