【給与DX編】46

「コロナ禍で頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで新型コロナウイルス影響の下で「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。

前号に続き「給与DX」をテーマに運送業経営者が知っておくべき事項について解説してまいります(その5)。

給与計算に必要な情報・データとして①時間系データと②出来高系データの大きく2種類のデータが必要になります。

1.「その他時間」の把握
「デジタコ」で把握することができない会議時間等の「その他時間」(エンジン時間以外の時間)を含めてドライバーの労働時間を把握することが可能となり、正しい「給与計算」が可能になります。

①運行前点検②安全会議・研修③日報等作成④倉庫作業⑤積み込み・積み下ろしサポート⑥清掃⑦横乗り等の時間は点呼義務がなくエンジンスタートもしないため「デジタコ」の記録に残らない時間になります。運転日報へ記載されません。

しかしながら、給与計算の対象となる「労働時間」には含まれるため、把握することが必要です。以前も説明しましたが「労働時間」は分単位での把握が必要です。現状、多くの運送業で実施している運転日報を転記し記録する手作業での方法は、手間がかかる割には正確性に欠けます。

「スマホ運送アプリ」や「勤怠システム」はこのような分単位での態様別時間把握(エンジン時間以外のその他時間)に優位性があります。

デジタコ・ドラレコとアプリ・勤怠管理システムとを連動させる方式が正確性、拡張性を勘案すると最適でしょう。ただし、中小運送業はコスト面に制約があるため「全体最適」になる方式を検討し選定、設計していく必要があります。

2.休憩時間の把握
「労働時間」は「拘束時間」から「休憩時間」をマイナスして求めます。しかしながら「デジタコ」の「休憩」ボタンを押すよう指示しても「押し忘れ」が多発するという話をよく聞きます。給与を減らされたくないと感じ、意図的に押さないドライバーも実際は多いでしょう。

一方で運送業経営者も「休憩時間」把握の重要性・必要性を理解していない方も多く、コストをかけてデジタコを設置したが、活用できていない、付けただけとなっているケースが多いのが実態です。

例えば「ドラレコ」(ドライブレコーダー)とデジタコを連動させ、「デジタコ」の休憩ボタンを押すと「ドラレコ」の室内カメラが切れる仕組みにすることは、「休憩時間」把握のための有効な手法です。ドライバー心理(休憩時間は録画されたくない)を踏まえ、ITの技術を活用し正確な「休憩時間」を把握していくことが求められます。