デジタルの力で社会の諸課題を克服するため、一般社団法日本IT団体連盟(IT連盟、川邊健太郎会長、東京都港区)では、地域・産業のDX推進として、2023年度要望「ラストワンマイルにおける自家用車運送の実現」を求めており、第1段階として22年10月から貨物運送事業に軽乗用車の使用が解禁され、第2段階では、25年度めどに進められている軽貨物事業届出のオンライン化のより迅速な完全オンライン化を求めている。

IT連盟は、「今後、経済活動を行う上で、デジタル化が必要不可欠になる」とした上で、「ITの発展に伴い生じた物流業界の課題を、ITを活用して解決する」としており、物流に関する規制改革を提言している。

それが、2023年度要望「ラストワンマイルにおける自家用車運送の実現」であり、多くの層のドライバーが参入できるようになることで、ドライバー不足から生じる近距離配送の課題を解決するとしている。

実際に、この要望は規制改革推進会議で議論され、2022年6月の「規制改革実施計画」を経て、同年10月から、軽乗用車に限ってではあるが、構造変更せずに、貨物軽自動車運送事業での使用が可能になった。

これについて、IT連盟は「ナンバープレートの変更は必要だが、構造変更しなくて良いため、一般ドライバーが空いた時間に気軽に自家用車を貨物運搬用として使えることができるようになった。

「次なる要望としては、まずは手続きのデジタル化の早期実現を訴え、その後、軽乗用車の実績を踏まえて、通知施行後3年をめどに、普通乗用車による貨物運送に関しての議論を要望している」と述べた。

その過程の中で、個人ドライバーが順守すべき一定のルール(乗務時間、距離、1回あたりの配送量等)を設け、プラットフォーマーに対する規制も導入するなど、安全管理措置についても要望していくという。

軽乗用車を貨物軽自動車運送事業に用いることが可能となった後、2023年1月の政策要望活動でIT連盟は「軽乗用車を用いた個人による配送についての課題と提言のアップデートを説明した」

軽乗用車を用いた個人による配送についての課題は、「規制改革の周知と浸透」、軽乗用車活用のシーンが多い地方では手続きに係る負担が大きいため「手続きの簡便化」「一般自家用車への拡大」の3つ。

一つ目の「貨物軽自動車運送事業に係る手続の迅速な合理化」は、2025年度めどとされている貨物事業届出のオンライン化を、2024年問題に間に合わせるため、より迅速な完全オンライン化を求める。

二つ目の「郵送でのナンバープレート変更」は、迅速に稼働できるように貨物事業届出の完全オンライン化と合わせて、軽自動車検査協会への出頭を不要にし、黒ナンバープレートの郵送の実現を求める。

三つ目の「一般自家用車による貨物運送の検討」については、軽自動車における輸送・事故等の実績を踏まえ、通達実施から一定期間後に、軽自動車以外の自家用車による貨物運送の検討の開始を求めている。

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