物流出向支援協会(東京都品川区)はこのほど、本格稼働を開始した。

同協会は物流業界の「繁忙期にはドライバーを増やしたい」「閑散期にはドライバーの雇用は維持しつつ配送効率を上げて生産性を高めたい」などの課題を、在籍出向支援を通じて解決へと導く。現在は同協会が直接仲介を行うが、今秋からはマッチングサイトを作成し、より多くの企業がサービスを利用できるようなサービス体制を構築していく。

 

阿部睦代表理事は「コロナ渦で産業雇用安定助成金が制定されたこともあって、今は在籍出向がやりやすい時期でもある。社員を出向させることによって現状の雇用を継続しつつ、社員の労務費を他社から得ることができる。また出向社員を受け入れれば本人の給与を出向費用として支払うことで、他に余分な経費は一切係らず、必要な期間だけ働いてもらうことができる」とし、「コロナ禍での物流環境の変化は激しく、荷受けの商材が他の物にシフトしたり、従来は安定荷主であった顧客からの貨物が減少し先が見えない。在籍出向は売り上げの変動に柔軟に対応し、余分な経費を極力抑えながら社員の雇用を安定化させる、現在考えられる最善策となる」と話す。

 

 

同氏は元々、物流系人材業界の出身。当時から非正規雇用者の存在が気がかりで、波動や営業事情から物量が変動しがちで正規雇用転換の障害となっている状況に気を揉んでいたという。「出向のマッチングが浸透すれば、事業者の雇用負担も減少する。繁忙期・閑散期の差は物流企業にとっての悩みの種だった。流動性と正規雇用を両立させられる環境を提供することで、業界がより多くの正社員を抱えられるようになり、雇用安定の一助になれれば」と話す。

 

◎関連リンク→ 一般社団法人物流出向支援協会