間口グループとしてトラックなど車両の整備や調達、管理などを手掛ける間口ジェネラルサービス(大阪市港区)は昨年4月、大阪駅前第1ビル(同市北区)にスタートアップのためのレンタルスペース・コワーキングスペース「billageOSAKA大阪駅前第1ビル」をオープンさせた。開設から約1年が経過した現在の入居状況は、ほぼ満室で順調に稼働しているという。間口ホールディングス取締役COOでスタートアップ事業管掌の川田宏行氏に、同社の新事業について話を聞いた。

同社は2016年ごろからインキュベーションへの取り組みに着手。その理由を川田氏は、「間口グループとして今後、人手不足や少子高齢化に対応していくには、新たに違う仕事を作っていかなければ生き延びていけない」と説明。

そしてスタートアップ事業を3年前にスタートさせたが、どう展開していけば良いか思案していた当初、川田氏は中国の深圳に行く機会があり、そこで先端技術を見てきたという。「深圳ではイノベーションが出来上がっていて、日本でもこういうものがないとスタートアップが育たないと実感した。どう作っていくかを考えるきっかけとなった」。

2018年から、スタートアップ事業の一環で、業務用のUAV(無人航空機)に特化した形でドローン事業に参入。大学発ベンチャー企業と協業して、国産初の「水中ドローン」や非GPS環境下での「狭小空間ドローン」などを取り扱い、新しい技術を取り入れたドローンサービスを提供している。さらに、SkyDrive社との協業による「空飛ぶクルマ」開発事業に参画。これは、2025年に開催される大阪・関西万博の移動手段として実用化が進められているものだ。

「billageOSAKA大阪駅前第1ビル」は、大阪のビジネス一等地である梅田エリアに位置し、総面積160坪のレンタルオフィス、コワーキングスペースとして起業家支援に力を入れている。「若いベンチャーにはハードルが高い行政とのつながりなど、今までのベンチャー支援ではできなかったようなことをサポートしていきたい」と話す川田氏。その一つの事例として、東京オリンピックから新競技として採用されるなど注目を集めるスケートボード(スケボー)の活性化と、地方創生をコラボ。「大阪港をスケボーの聖地に」を掲げて、「行政に働きかけて、スケートパークを間口の本社のある港区に設けるために取り組んでいる。少子高齢化が進んでいる港区に若者を集めることで、地域活性につながる」と考える。

「港区を、関西では今までになかった『実証タウン』として、スタートアップと連携して様々な新しい試みができる街にしたい。まずは、大阪港にスケート場と空飛ぶクルマの離発着地を呼び、それを支援するのが我々のミッション」と言い切る。

「billageOSAKA大阪駅前第1ビル」の現状について、「入居者が横のつながりもできて、みんなが集まれる場になっている」と同氏。「スタートアップの彼らのスピード感はすごい。時代の流れを持っている。一方で彼らに足りないものは、気軽に相談を受けられるようにしている。やがて、この場所から次の間口の事業の柱を作ることができれば」と、将来を見据えて目を輝かせる。

 

◎関連リンク→ 間口ジェネラルサービス株式会社