全ト協(坂本克己会長=写真右)では、トラック運送事業者の大半を占める小規模事業者の事業経営の維持、継続のため、経営改善のヒントや支援策などの検討を目的に小規模事業者コロナ時・災害時特別対策委員会(以後、特別委員会)を設置し、日貨協連の会長を務める吉野雅山氏(同左)が委員長として小規模事業者にアンケートおよびヒアリング調査を行い、「新型コロナウイルス感染症や自然災害の影響下における小規模トラック運送事業者の経営改善に向けて」の答申をまとめ、4月14日、吉野委員長から坂本会長に手渡した。

答申によると、コロナ禍で小規模事業者が抱えている課題として、5割以上の小規模事業者が輸送量・収入・利益が減少しているが、6割以上が自社の現状分析を行っておらず、約4割が経営計画を策定していない状況だった。また、4割弱が事業協同組合に未加入で、燃料の共同購入や高速道路料金の割引などによる還元を得ておらず、IT機器も電話やファクスなどのアナログな機器のみ利用している事業者が多くみられ、約6割が荷主への運賃交渉が予定段階で、約3割が標準的な運賃の詳細内容を把握していない実情が明らかになった。

そこでまず重点的に取り組むべき5点を以下としてまとめた。①IT機器の活用による業務改善②協同組合加入による購買の共同化や運送事業の効率化③適正な運賃の収受と「標準的な運賃」の周知および届出支援④融資斡旋に関する現行制度の周知および活用推進⑤その他として、事業継続に向けた労働環境の改善支援や経営者における経営・物流の知識向上は必須とした。

答申の手交をうけ、坂本会長は「小規模事業者の皆さんがこれからの進むべき標として、全ト協でしっかりと前向きに討議し、小規模事業者の発展のために責任をもって生かしていく」と述べ、答申を受け取った。なおこの答申はホームページで全文掲載している。

◎関連リンク→ 公益社団法人全日本トラック協会