近年、都市部を中心に出店が続いているトランクルーム。それは、建物や空きビルのフロアを使った屋内型のビルインタイプや屋外型のコンテナタイプなど、いわゆる不動産系の「レンタル収納スペース」のことだが、2017年に9870店舗(ビルインタイプ2770店舗、コンテナタイプ7100店舗)だったものが、23年には1万3939店舗(同4553店舗、同9386店舗)と、6年で約1.4倍に増加。今後も出店が続くとされている。

日本の一般消費者向け収納ビジネスの市場規模は、約800憶円と推計されている。なかでも、不動産系の賃貸型トランクルーム(レンタル収納スペース)は10年前から、毎年5~7%の成長を続けている。

一般的にトランクルームと言われているものには、倉庫業者が寄託契約に基づいて提供するトランクルームと、不動産業者などが賃貸契約に基づいて提供するレンタル収納スペースがある。

 

 

レンタル収納スペースが成長を続けている理由について、一般社団法人レンタル収納スペース推進協議会(東京都渋谷区)代表理事の吉田得生氏は「ライフスタイルの変化によるところが大きい」と話す。

コロナ禍で在宅ワークやテレワークといった働き方の拡大や若い世代のライフスタイルの変化により、収納スペースの必要性が高まった。若い世代は、必要のないものは置かないスタイルを好んでいる。

押入れ産業(森田浩史社長、同千代田区)によると、3年前の20代30代の店舗全体の利用者割合が約20%なのに対して、直近では約40%程度に増加。中には60%が20代30代ユーザーという店舗もある。

その理由として、同社は「Web契約とオンライン決済の仕組みを導入していることや、サービスが認知されるように、Web広告に力を入れていることが若い世代の利用につながった」と考えている。

また、大手投資顧問会社による案件が加速していることも、レンタル収納スペースの成長を後押ししている。海外ではストレージ事業は大きな投資対象事業であり、海外投資家が日本市場への参入を検討。

既に、シンガポールやアメリカ、オーストラリアなどの海外投資家や日本の投資家が、国内のレンタル収納スペースサービス事業者への出資や物件投資を開始しており、ますます伸展していくと考えられる。

ちなみに、利用者が実際に利用できる国内のレンタル収納スペース(ビルインとコンテナ)のユニット数は現在、63万5168ユニットで、2024年には65万5000ユニットに増えると予測されている。

レンタル収納スペースの需要はこの先、まだまだ十分にあるとみられているが、そうした中で、付帯サービスも充実してきており、施設にシェアルームやコインランドリーなどを併設する事業者も増えている。

このような状況で、地域の不動産屋が路地に入ったビルの1階に小さなレンタル収納スペースを開設したり、レンタル収納スペース事業を始める物流会社も増えるなど、需要があることがわかる。

 

レンタル収納スペースの今後の予測については、日本の利用者は全世帯数の1%程度だが、EU圏が2%、アメリカが10%の利用率であることから、日本は潜在需要として3%(150万世帯)見込める。

なので、ユニット数は今の倍必要とされている。さらに、住宅が狭くなってきている事が利用拡大につながると考えられ、業界では市場規模も、2005年には1000億円規模になると予想している。

◎関連リンク→ レンタル収納スペース推進協議会