シャープはこのほど、ネットワークカメラを活用し、LED照明を自動で点灯・消灯・調光するシステム「ロジスティック向けConnected Smart Lighting Solution」を開発した。導入企業からは、「電気使用量が削減できる」と好評の声が上がっているという。

 

シャープ担当者は、「照明を自動制御するには、赤外線センサーで動く人や物を検知するのが一般的だが、物流倉庫などの広い空間では対象物までの距離が離れており正確に検知しにくいという課題があった」と説明。「そこで、広い空間でも動体認識力が高いネットワークカメラを活用し、人やフォークリフトの動きをカメラで検知して照明を自動制御するシステムを開発した」という。

また、「省エネ性能に優れたLED照明の効率的な制御に加え、照度シミュレーションをもとに設計した照明の最適配置で、従来の水銀灯や蛍光灯と比べて70ー80%の電気使用量の削減が可能になる」と説明。「運用方法にもよるが、人の出入りが少ない倉庫に適している。常時稼働している現場は点灯状態が続くが、昼休みなどの消灯や消し忘れ防止が図れる」とも。

 

ネットワークカメラは、倉庫全体ではなく、出入口などの特定場所を撮影し動きを検知。「倉庫の面積や形状、フォークの動線、頻度、作業時間などを考慮しながら最適なセッティングを行う必要があり、これは当社独自のノウハウ」と自信を示す。

 

映像は、管理室など離れた場所でもパソコンやタブレットで視聴でき、「労働安全環境の向上にも役立てられる」。

 

また、人やモノ、何が映ったかを解析しているのではなく、映像の変化を検知し、映像が変わった(動きがあった)ことを人やフォークの出入りがあったと認識。「映像内の変化の大きさ(面積)と時間などを組み合わせて判定しており、感度は現場に合わせてセッティングしている」という。

 

同ソリューションを、 洗浄剤、アルコール製剤、食用植物油を取り扱うセッツ(堺市西区)が物流倉庫で導入。LED照明44台、照明コントローラー2台、ネットワークカメラ4台を設置し、今年5月から稼働している。シャープ担当者は、「2つの倉庫をそれぞれ2分割、合計4分割したゾーン(エリア)で制御しており、作業中50%程度の調光(消灯)を見込んでいる」と解説する。

セッツの担当者からは、「単にLEDで省エネを図るだけでなく、自動調光する仕組みを導入することで無駄な点灯を削減できる」、「ESG経営を目指しているので、環境に貢献できる」、「現場が明るくなったと従業員が喜んでおり、とても満足している」などの感想が寄せられているという。

 

シャープでは、「導入にあたっては、水銀灯式灯具からのリプレースも可能で、現状の設置位置・作業内容を踏まえて提案する」とし、「今後も、省エネ設備の提案と法人向けビジネスのさらなる拡大に取り組んでいく」としている。