東証スタンダード上場企業でグループ26社、グループ事業拠点110拠点のカンダホールディングス(東京都千代田区)は6月12日、2023年3月期連結決算について都内で説明会を開催した。

2023年3月期連結決算の営業収益は516億2100万円(前年比39億7600万円増)、営業利益は27億3000万円(同2億9800万円減)、経常利益は28億200万円(同2億9500万円減)、当期純利益は17億7400万円(同1億7400万円減)で増収減益となった。

原島藤壽社長は「中期経営計画の2年目、営業収益は1年前倒しで500億円を突破できた」と話し、セグメント別業績について国内では、食品、衛生用品、日用雑貨などの貨物量は引き続き堅調に推移し、新規業務の獲得や既存取引の業容拡大、M&Aなどにより営業収益が拡大。

しかし輸配送業務の燃料費や庫内業務の電気代など調達コストの上昇が利益面に大きく影響。原島社長は「コスト上昇分を運賃に転嫁しきれなかった。また、新事業部立ち上げ費が予想以上にかかった」と説明。

新規業務としては神奈川県厚木市でのペット用品メーカーの共配業務や、兵庫県尼崎市の西日本物流センターで3PL業務がスタートしたことを報告した。

さらに国際面では「新型コロナウイルス感染症で制限されていた世界の経済が回復に向かい、2022年度上期頃まで続いた国際輸送ニーズの特需と運賃高騰が収益を押し上げた」とするも、「第3四半期を境に落ち着きが見られ、コロナ禍以前へと向かいつつある」と語り、2024年3月期の予想として営業収益520億円、営業利益31億円、経常利益31億5000万円、当期純利益20億5000万円と発表した。

2023年11月に創立80周年を迎える同社は、2024年3月期に向け「80年を超え500億を超えて新カンダを皆で築いていこう」をメインスローガンに、①新規業務の獲得②新時代に合わせた明るい職場づくり③インフレ・人手不足時代に合わせた新たな取り組み④交通事故・労災事故削減の4つを柱とし、適正運賃の確保やグループ会社の再編、物流DXやM&Aの推進、80周年記念行事の開催、時間管理の徹底、働き方・賃金の見直しなどを経営方針として挙げ、すでに物流DXとして先進技術を導入し、「安全運転支援システムの試験導入」や「AMR(自律走行搬送ロボット)の導入検討に取り組んでいる。

また、30日には株式分割も実施予定で、最低投資額を引き下げ、より投資をしやすくすること、2024年3月期中間配当では創立80周年を記念しての増配も実施予定で、株主優待制度の一部拡充として図書カードの贈呈、新規事業として2023年3月27日、神戸市中央区のみなと銀行出張所内に、売上金の入金や釣銭パックが受けとれる専用ブースを設置し、来店型集配金サービス「キャッシュトラスト」のサービス提供を開始している。

このほかESGやSDGsについては「物流を通じて社会の発展に貢献します」と述べ、働きやすい職場認証制度での「二つ星認証」の取得や今年4月に開示した「女性活躍推進法に基づく行動計画」、ドローンスクール国家資格登録講習機関としての認定、災害の備えとして「物流を止めない」BCP、安全対策等についても説明した。

◎関連リンク→ カンダホールディングス株式会社