全ト協(坂本克己会長)は6月1日、第200回理事会を、全ト協内ホールで開催した。理事会には国交省から丹羽克彦道路局長、堀内丈太郎自動車局長、小熊弘明貨物課長も同席した。この前日、ト協から働きかけていた、時限措置法「標準的運賃および荷主対策の深度化」の期限延長が衆議院閣議で認められたことを受け、坂本会長はその報告をするとともに「間もなく総理大臣からの物流政策パッケージが発表される」と話し、その内容について「悪しき商慣習の是正、つまりリードタイムと長時間の荷待ちを是正が盛り込まれ、それを取り締まるトラックGメンの設置もあるかもしれない」と述べた。またドライバーの負荷を軽減するためのDX化の促進や使いやすい高速道路への対応についてなど、2024年問題を乗り越えるための取り組みについて話す一方で、運送事業者もD、Eランクの事業者を無くしていく自助努力が必要と語った。

丹羽道路局長は「高速道路の4車線化やサービスエリアの機能の高度化、老朽化対策の財源を確保のため今の高速道路の料金徴収期限を2115年まで延長する法律が昨日(5月31日)、成立した」と報告。「高速道路の大口多頻度割引に対しては最大50%引きとする拡充措置は皆さんの熱意を受け、今年度末まで継続する。これを延長していくよう我々も頑張っていく。深夜割引もスタートは令和6年度からになるが今いろいろな設計をしている」とし「道路関係の問題を解決するためには、坂本会長も参加してくれている全国道路利用者会議の活動が重要。この活動にぜひ積極的にご参加いただきたい」と話した。

堀内自動車局長も、時限措置の延長が衆議院通過したてであることを報告した後、「与野党全員賛成という素晴らしい形で認められた」と話し、「わずか1か月で(法案が)通るなどとは皆有り得ないと思っていたが、この法案が今月成立すれば、標準的な運賃、働きかけ要請措置などは当分の間ということになる。この当分というのは、運送事業者と荷主が対等な関係になって、この法律が要らなくなる時が来るまで」と述べた。

「国交省もトラック協会の皆様と力を合わせて荷主からしっかり運賃を貰えて長時間に荷待ちや契約外の荷役作業のない世界を創るべく、取り組んでいく。もう間もなく総理からご指示のあった政策パッケージも取りまとめられ、そこにはトラック法の延長に加えての新たな荷主対策も多く盛り込まれている。物流の2024年問題は待ったなしの課題だし、皆様にはぜひ勇気をもって、一つには標準的運賃を参考とした運賃改正の荷主へのチャレンジ、二つには長時間の荷待ちや荷役作業といった適正な取引を阻害する疑いのある行為を荷主がしようとしたら、ちゃんと通報していただきたいこと、三つにはトラック協会の中でもルールを守らない事業者にはご退出いただきたいということ」とあいさつした。

理事会では29日の総会に向け、令和4年度の事業報告および収支決算等の採決を取った。このほか外国人ドライバーを特定技能制度に入れることや走行距離課税への反対、高速道路の制限スピードについての検討等の要請事項について報告した。

2日には、ホームページに「総理発表の物流政策パッケージ」と言われていた「物流革新に向けた政策パッケージ」を発表・掲載。具体的な政策・取り組みは同日発表した「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」にまとめられホームページで掲載。さらに全ト協の広報紙「広報とらっく」1日号では坂本会長が全国道路利用者会議で出席して読み上げた決議文も掲載している。

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