皆さんこんにちは、日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長の上西一美です。

雨天時の運転では、注意するポイントがたくさんあります。まずは速度を抑えておくこと。私のセミナーでは、「通常よりもマイナス時速10キロを意識して運転してください」と伝えています。次に車間距離ですが、通常よりも2倍近く開けることを勧めています。多くの運転者は、このような対策をしていると思いますが、もう一つ注意いただきたいことがあります。

皆さんは、雨の降り始めと雨がやんだ直後のどちらの事故率が高いと思いますか? 多くの方は、雨が降り始めた直後と言います。たしかにリスクの高さから言うと、雨の降り始めは道路に落ちているゴミなどが浮きオイル状になることで、スリップしやすくなるのは事実です。

交通事故はそこに運転者の心理が影響します。雨の降り始めは、フロントガラスに雨が当たることで多くの運転者が無意識に減速し、注意深く運転していくのです。雨がやみ、フロントガラスに雨粒が当たらなくなると、運転者は緊張感が薄くなり、速度を元に戻していきます。

しかし、路面の状態はどうでしょうか? 当然、雨が降っている時と同じ状態です。路面状態と運転者の意識のミスマッチが危険なのです。「リスクが高いのは降り始め」「事故が多いのはやんだ直後」というのが、これまで私がドライブレコーダーの映像を見てきた中で圧倒的に多いのです。

雨がやんだ直後も降っているときの緊張感を維持する。

「車間距離を確保し、速度を落とす」以前に、この意識が大事なのです。