三井倉庫ホールディングスは5月31日、本社ビルで記者説明会を行った。

「中期経営計画2017」の振り返りや、今年5月に策定したグループ理念、「中期経営計画2022」について説明した。

「中期経営計画2017」の振り返りでは、個別数値の推移は2022年同期の2017年3期比で、営業収益は33%増の3010億円、営業利益は259億円、有利子負債残高は940億円で目標数値1300億円以下を達成したと発表。

 

また、グループ理念は今年5月に刷新。コロナ禍や国際協調の減速、2024年問題などの物流を取り巻く環境が変化し、中長期的に価値を作り上げる指針・判断基軸として経営理念を見直す必要性が出てきたためだ。

グループ理念は、「Purpose(パーパス)」「Vision(ビジョン)」「Values(バリュー)」という3要素。パーパスは同社や物流業の存在意義である社会を止めず動かし続ける存在、バリューは全従業員で共有する4つの価値観と行動方針、ビジョンは今後目指す姿という意味を込めた。

 

「中期経営計画2022」では、通常投資300億円のほか、DX投資200億円を含む総額1000億円の戦略投資を行い、配当性向30%とする株主還元で200億円計上。そして、2027年3期には営業収益3500億円、営業利益230億円、営業CF300億円を数値目標とした。

セグメント別の物流事業では、2027年3期にベース業務の取扱量増加や、戦略投資、オペレーションのローコスト化を積み上げて営業利益245億円を目指す。

そのための成長戦略として、グループ総合力集結によるトップライン成長、オペレーションの競争力強化、深化を支える経営基盤の構築をあげる。

このほか、近年顧客からの関心の高いCO2の見える化やCO2排出量削減などの解決策を提案する「三井倉庫SustainaLink」の拡大や、同グループの物流機能を最大限に活用した業際を深掘りしていく。

DX推進では、デジタル戦略課を戦略部に昇格し、サービスに必要なシステムの構築や、既存サービスの選定などを行っていくとし、「今後は、この部署を拡大していく」と述べた。「E(環境面)・S(社会面)・G(ガバナンス面)をESGとして、31年までにCO2を50%削減、そして51年までにはネットゼロを目指す」という。

古賀博文社長は、現在の物流を取り巻く環境に対し、「変化をチャンスととらえる」と述べたうえで、「中期経営計画2022は大きなターニングポイントとなる。新たなグループ理念のもと、企業価値を高めていく」と語った。