海上コンテナ輸送の拠点となるコンテナターミナルとその周辺では、トレーラの待機時間が問題となるなど、一部のターミナルを除いて恒常的に混雑している。国交省では情報通信技術を活用した「CONPAS(新・港湾情報システム)」の導入などによりコンテナ輸送の効率化と生産性の向上を進めている。

 

国交省港湾局は2023年3月から、民間事業者間の物流手続きを電子化する「サイバーポート(港湾物流)」(Cyber Port)と、行政手続きをオンラインで処理する「輸出入・港湾処理システム(NACCS)とのシステム間直接連携機能の運用開始を目指すと発表した。

物流手続きは、従来からの紙や電話、ファクスなどがまだまだ大半を占めている。そういう部分を効率化できないかということが、国交省が管理・運営を行うサイバーポートの最大のミッションとなっている。

調査した結果、いずれの業種においても、依然として、約5割の手続きが、紙、電話、メールなどで行われている。

業務内容によっても電子化の度合いが大きく異なることがわかった。

陸運では、電子化が30.2%で、メール添付が19.8%、紙・電話などが27.5%と最も割合が大きかった。

サイバーポートは、民間事業者間の港湾物流手続きを電子化することで業務を効率化することを目的に構築しており、昨年4月から運用を開始。

ちなみに、サイバーポートのデータ連携による短期的な効果としては、データ連携による再入力・照合作業の削減、トレーサビリティの確保による状況確認の円滑化を得ることができる。

 

サイバーポートの利用効果については、①港湾物流手続きの電子化②手続きのトレーサビリティ確保③各社の事業に応じた利用方法の提供④様々なシステムやプラットフォームとの連携⑤データの提供・活用で、全体で約4割の時間が削減できるという試算が出ている。

このサイバーポートに陸運事業者も入れば、空コンテナがピックアップされたタイミングでデータ連携されるため、陸運事業者の負担が減ることも期待できる。

サイバーポートとCONPASは連携することで、より効率化ができるようになった。サイバーポートとコンパスは国交省が運営管理している。CONPASも本格運用が始まっており、関連事業者であればポータルサイトから申請を行うことで利用できる。

一方、NACCSとの連携について、輸出入・港湾関連情報処理センター取締役の松田誠司氏は、「NACCSは税関に関する行政手続きをオンラインで処理するためのシステムなので、陸運事業者の効率化に直接メリットは無い」としながらも、「実は陸運事業者が待機時間などで困っているので何か打つ手はないかという話はかなり前から伺っている」という。

「NACCSのシステムを活用すれば、待機時間削減に貢献できるかもしれないということはこれまでに何度か検討したことはあるが、システムの運営・管理には費用がかかるのと、行政手続きのためにつくられたシステムなので簡単にはできない。陸運事業者の混雑解消には商慣習的な部分も大きいと思うので、できることから始めて、それ以外は知恵を出しあって解決していくことが必要だと考える」としている。