北海道経済連合会は昨年7月から検討を進めていた「2021物流プロジェクトチーム」(座長・相浦宣徳北海商科大学大学院教授)での協議の内容を取りまとめた報告書を公表した。

ドライバー不足や2024年問題、貨物鉄道輸送における青函共用走行区間・並行在来線の問題などが及ぼす影響と対策を検討したもの。近い将来の北海道の物流への強い危機感を示し、とりわけ「貨物鉄道のあり方が北海道の浮沈を決める分岐点」と強調、「現在の輸送ネットワークを保持することが北海道にとって望ましい物流の姿」であるとしている。

同報告書では、トラックドライバー不足や2024年問題により、「トラックの輸送力は確実に低下」するのみならず、「フェリー・RORO船」と「貨物鉄道」でも集配先までの輸送に強く影響するとし、「北海道におけるすべての輸送力を低減させる」と指摘。「発着貨物量の減少」のほか、小規模な集出荷団体や地方部が切り捨てられる「荷物・地域の選別」につながり、「北海道経済の縮小」をもたらすという「負のスパイラル」のシナリオを示した。

あわせて、北海道と本州を結ぶ全輸送力が低下した場合を想定し、影響分析を行った結果、「全国的には北海道の3倍以上の影響額が発生する」と推計した。

「第二青函トンネル」や「在来線・貨物鉄道輸送のニーズに応えられる貨物新幹線」の供用など、抜本的な解決方法が形成されるまでは、「現在の輸送ネットワークを保持することが北海道にとって望ましい物流の姿」としている。

また、これからの輸送ネットワークのあり方として、「貨物鉄道輸送、フェリー・RORO船を介したトラック・シャシー輸送」や「貨物鉄道輸送ネットワークの維持」が重要と提示。このほか、「中継輸送や共同輸送」「積み下ろし拠点などでの作業負荷の軽減や待ち時間の短縮」「一貫パレチゼーション」「発注リードタイムや輸送期間の延長」「無人運航船や自動運転、新幹線による貨物輸送」といった施策を提案した。

これら提言の多くは「事業者、事業体、業界、自治体が単独で実現することは困難」であり、「然るべき場での議論、それに基づくオール北海道としての団結が必要」と強調。「道内外の物流業界、産業界、経済界、学界などの連携のもと、北海道として望む物流のあり方を明確に打ち出す必要がある。時間はほとんど残されていない」と結んでいる。