SDGsが世界中で認知され各所で環境問題・人権問題など様々な問題を解決しようというムーブメントが続いている。一方で、コンテナ不足など世界的なサプライチェーンの混乱が続いており、こうした世界的ムーブメントに歯止めがかかっている。陸上貨物輸送関係者・荷主企業双方にとって悩ましい状況だが、こうした時にこそ物流企業の底力も発揮されるようだ。物流業界のパワーを見せつけた事例を取材した。

パン・アキモト(栃木県那須塩原)は防災用備蓄商品として知られる「パンの缶詰」を製造・販売しつつ、商品入れ替えなどで回収した缶詰を飢餓エリアへ提供する「救缶鳥プロジェクト」を推進している。世界の貧困・飢餓問題に立ち向かう同プロジェクトには国内の倉庫・運送企業だけではなく大手船会社などが関わっている。

同社専務の秋元信彦氏は近況について「コンテナ不足など国際物流の混乱は救缶鳥プロジェクトにとっても向かい風。飢餓地域へ届けられるはずの商品も、船が空いていなければ倉庫で賞味期限を迎えてしまう」と話す。

今年春、同社商品約5000缶が新潟県の倉庫で海外出荷を待ったまま賞味期限を迎えようとしていた。飢餓問題へ一石を投じるはずだった同社商品が廃棄を目前としていた時、輸送および販売で連携を行っている結城商事輸送(結城恵美社長、神奈川県横浜市)が起死回生の手を打った。

パン・アキモトから相談を受けた結城社長は、交流のあった医療団体に訪問介護における支援物資として提案。

同団体もコロナ禍で困窮している被訪問介護者への支援物資に活用可能としてパンの缶詰を受け入れることとなった。

商品は結城商事輸送の手配により直ちに、新潟から横浜へ配送され医師会へ提供された。秋元専務は「新潟から運んでくれたのは結城商事輸送の協力会社と聞いている。企業の枠を越えた強いつながりと見事な連携を見られ、物流業界の力を実感している」としている。

◎関連リンク→ 株式会社パン・アキモト