「感染者が増えたときの点呼時にアルコールチェックができていない」。そうこぼすのは首都圏の運送事業者。同社では、新型コロナウイルス感染症が拡大し、緊急事態宣言が発出された一昨年の4月、ドライバーからアルコールチェックによる感染を危惧する声が出たという。

「息を吹きかけるだけで吸うわけではない」「ストローも毎回交換している」と説明するも、「機器にウイルスがついてそれを触って目をこすれば感染するのではないか」など、疑念の声は払しょくできなかった。

さらに、「知り合いの運送会社でドライバー数人が相次いで感染したが、その際、原因が特定できなかった。ドライバー同士が接触しているわけではなかったため、考えられることとして、点呼時のアルコールチェックではないかとの声が上がった」という。

 

「証拠があるわけではないので、それを鵜呑みにすることはできないが、可能性を否定できない以上、アルコールチェックの強制もできなくなった」と打ち明ける。ただ、違法であることは同社長も理解しているため、「感染者が増え、ドライバーから不安の声が上がった時だけ停止を認めているが、違法状態をそのまま放置できないので、そろそろ何かしらの対策を考えないといけない」とし、携帯型アルコールチェッッカーの導入も視野に入れているという。