昨年12月までに企業専用型のBTSを235棟・延べ床面積約522万平方m、マルチテナント型のDPLを82棟・同約583万平方mの物流施設を国内に建設し、現在も精力的に開発する大和ハウス工業。自分たちの生活とかけ離れた「倉庫」のイメージから、その地域に役立つ、身近な「物流施設」として受け入れられた存在に変わりつつあるのは、物流が生活を支える重要インフラであると認識されるようになったことに加え、大和ハウス工業による開発努力にもよるところは大きいだろう。

 

大和ハウス工業の建築事業本部営業統括部Dプロジェクト推進室の井上一樹室長は「提供する施設を利用するテナント企業様やそこで働く人たちにより良い作業環境を提供していきたい。それはセキュリティであったり感染症対策であったりさまざまだが、例えば感染症対策でいえば、倉庫内環境を監視する機器を設置し、熱中症や感染症のリスクを可視化しアラートを出して注意喚起をするとか。本来、我々がやるべき範囲を超えているとも思えるが、施設オーナーとして、働く方たちのための保育施設や休憩スペース設置など、環境を良くすることで『あの物流施設で働きたい』と思っていただければ人財確保の一助にもなるだろうと。働く環境を良くするのは我々の使命でもある」とし、「一度建てたら40―50年は使い続ける長いスパンで運営していく施設だからこそ、現時点で考えられるユーティリティは出来るだけ整えていきたい」

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また、「建設する地域にも貢献していかねば。当社の浦川竜哉取締役常務執行役員も常に言っているのが〝地方・地域との共創・創生〟。その地域のお役立ての一つになりたいと。その地域の税収向上や地元での雇用なども意識して開発に臨む。建物も必要に応じて免震などで強靭化を図り、災害時の備蓄や共有部分を一時的な避難に活用するとか。現在9か所の自治体と防災協定を締結しているが、自治体の意向の地域差やテナント企業の都合もある。各状況を踏まえて防災用備蓄や、最低限の連絡は取れるように非常用蓄電池の設置など、可能な範囲で準備しておくことも開発デべロッパーとしての使命」。このような防災対策に加え、建物主要構造も強固なものの採用や、太陽光発電による再生エネルギーで施設内のテナント企業への電力供給なども標準装備としている。

 

井上室長は物流DXを「会社からは常に『先の先を読め』といわれている。我々は物流施設を使う企業が必要とするだろうサービスや技術を持つ企業と資本提携し、例えばトラックの倉庫待機時間を削減するためのシステムを保有するHacobuや、倉庫内の共通システムやフルフィルメントサービスを提供する大和ハウス工業100%子会社のダイワロジテックなど、お客様の声を聞き、困りごとの解決のお手伝いが出来るようにしている。常に時代の流れや先進技術の進み方を読み、必要と思われる施設にはアップデートもしていく」と述べ、「さらに重要なのは立地。高速道路のインターチェンジの近くとかだけでなく、住宅地が近くにあり、そこで働く人手も集めやすいなども含めての条件」と説明する。

 

今後の展望について、「今年の3月31日で現在の中期経営計画が終了し、また新しい計画がスタートする。物流施設の開発は街に住む方たちをも意識しながら進めていく。例えば物流施設と商業施設が一つになっている複合型、ハイブリッド型の施設開発にもチャレンジしていこうという企画や、地域の方たちの利便性を高めるための、物流だけでなく多用途とコラボレーションした開発とか。テナント企業や物流企業の課題を解決するために、昨年7月に開設した『物流DX推進グループ』のスタッフ4人は、全国のお客様の課題解決のためにロボットやIoT、システムの提供などに対応している」とし、「現在、サプライチェーン全体での待機時間やエネルギーの削減などを目的に行政のもと、イオングローバルSCM、花王、日立物流、豊田自動織機と5社でAI活用の自動運転フォークリフトを使った実証実験に取り組んでおり、得られた成果を共通、標準化システムとして広く利用されることを目指す。アナログでの作業は実は機械より処理がスピーディであったりするが持続的ではない。そこで個人が持つスキルを定量化・見える化することで、誰でも同じように処理できる体制にしていくことが必要であり、進めていくべきサービスと考えている」と語る。

 

◎関連リンク→ 大和ハウス工業株式会社