サンエム(兵庫県宍粟市)は、廃油のリサイクル事業をメーンに、タンク清掃のワンストップサービスや産廃処理のトータルコーディネートなどを展開。「エコアクション21」を取得するとともに、利益の一部を植林活動に充てるなど、環境活動にも注力している。

 

2年前には、新規事業として一般貨物運送事業を開始。谷口竜太郎社長は、「オイル関係の仕事が8割だったが、何か新しいことを始めなければいけないと感じ、挑戦を決めた」と経緯を語る。

 

 

既存事業での取引先からの応援もあり、運送事業は好調に推移。電子部品や建材などを取り扱い、「2年で売上比率3割まで増やすことができた。いずれは5割まで伸ばし、オイルとの二本柱に育てたい」と手応えを見せる。

 

「当社社員のいちばんの武器は元気で笑顔で素直であること」と胸を張る同社長は、「当たり前の実践を徹底している」と強調。「挨拶、報・連・相、身だしなみを大切にしている」。新事業で接点を持つようになった荷主からは、「運送業らしくないと褒められる」という。社員教育にも力を入れており、社内勉強会も積極的に開催している。

 

そんな同社では、物流DXの一環としてトランストロン社製のデジタコ「DTS―D2D」を全車両に導入。ドライブレコーダーとの連携機能もフル活用し、前方、キャビン内、左巻き込み、後方の4か所にカメラを設置している。

 

また、クラウド型運行支援サービス「ITPーWebService V2」も利用し、リアルタイムで車両の位置情報を管理。到着時間や運行状況を把握し、荷主との情報共有に役立てている。「得意先に何時ごろに着くか、いつ戻ってくるかが一目でわかる。お客さんも気軽に電話で聞いてこられるようになり、コミュニケーションが取りやすくなった」。

 

 

月に一度は、燃費や安全運転の点数もチェック。ドライブレコーダーの映像も、「『得意先の構内から出るときは必ず一時停止する』といった当社が特に重点的に指導している点を見る」など、ポイントを絞って確認している。

 

同社では車載器の導入後、「燃費も大幅に改善している」という。「運転中の音声による注意喚起の効果が大きい。ドライバーの意識が変わり、車両によっては107%になったものもある。これだけで年間8万円は変わる」と谷口社長。「情報を社内で共有することで、みんなにがんばる気持ちも芽生えているようだ」と目を細める。

 

また、日報の自動出力機能もドライバーから好評。「以前は手書きだった」が、「毎日10〜15分程度削れ、早く帰らせることができるのは双方にとって大きい」。

 

今年は一般貨物事業をさらに成長させていく構え。その背景には「我々が成長することでこの宍粟市に貢献し、若い人材の受け皿になりたい」という地元への思いもある。

 

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