一昨年に国内でも新型コロナウイルス感染症が拡大し、緊急事態宣言が発出され、経済活動が抑制されるなど、物流業界も大きな影響を受けた。オンライン会議や在宅ワークなど、働き方にも変化が生まれている。業界にあっても、ドライバーの労働時間に罰則付きの上限規制が設けられる、いわゆる2024年問題を控え、大きな変化を余儀なくされている。まさに今、業界は変革期を迎えている。こうした激動の中、弊紙では、業界を代表するメーカーの物流子会社社長を招き、紙上座談会を企画、5社の代表に、物流への取り組みについて、それぞれ語ってもらった。

ウィズコロナ、アフターコロナと言われる今年は、経済の再生と、生産性向上に向けたDX化の進展など、取り巻く環境のさらなる変化が予想される。メーカー、そしてメーカー物流は、今後何を考え、どう取り組んでいくのか。座談会におけるそれぞれの発言を通して、今後の動向を探る。

 

ーー昨年、そして一昨年と新型コロナウイルス感染症の拡大によって、日本だけでなく世界中が大きな影響を受けています。緊急事態宣言が発出され経済活動も抑制されるなど、経済への影響も少なくなかったと思いますが、コロナによる影響はどうでしたか?

 

 

山田崇文社長(キリングループロジスティクス)「消費者のライフスタイルが大きく変わり、それに伴って酒類・飲料の飲用スタイルも変化したと思います。酒類については外食の機会が減少したこと、飲料についてはオフィスや外出先、イベントや行事における飲用が減り、荷量も減少しました。家庭内(巣ごもり)の需要拡大の影響もありましたが、全体的に厳しい状況だったかなと思います。ただ、その一方で社内では、何よりも社員の健康・安全を最優先とし、事業継続のため出社する社員の感染予防対策徹底の環境整備に尽力しました」

 

 

 

弓野理恵社長(バンダイロジパル)「新型コロナウイルスの全体的な影響としましては、まず2020年の年明けに中国での生産が止まり、日本に商品が入荷されなくなりました。その後、中国で生産が回復したものの、日本で緊急事態宣言が発令され、商品は入ってくるが納品出来ない状況で、国内倉庫がひっ迫しました。緊急事態宣言が明けると止まっていた物流が一気に動き出したことで、物流現場はひっ迫した倉庫内で出荷業務に追われました。昨年は止まっていた物流が一気に動き出したその勢いのまま推移しました。通常であれば、4〜6月は閑散期となり、年末商戦の10月からが繁忙期となるのですが、昨年はヒット作があったこともあり、ありがたいことに常に繁忙期の物量をこなしているといった状況となりました」

 

 

 

辻幹夫社長(エステービジネスサポート)「昨年前期、当グループでは衛生需要増の高まりで衛生関連品として、手袋の伸びが顕著で品薄の中でも120%の伸びとなりました。また、巣ごもり需要、内食需要により、主力の芳香消臭剤、防虫剤、脱臭剤、米用防虫剤などが好調で、すべてのカテゴリーでの売り上げ伸長となり、結果104%の売り上げの伸びとなりました」

 

 

 

若林智樹社長(コクヨサプライロジスティクス)「荷主の売り上げが一時期は15~20%まで落ちましたが、今はコロナ前の5%ダウンくらいまで戻ってきています。とにかくコロナの第一波のインパクトは相当厳しく、多くの人が職場や学校に出社・通学しなくなったことで法人・個人需要ともに大きく落ち込んだことが影響しました。その後、コロナ対策としてアクリル板や消毒液、マスク等の衛生用品の注文が一気に膨れ上がり、コロナ特需的なものが出てきました」

 

 

 

柳川弘之社長(ホームロジスティクス)「コロナによってお客様宅での組み立て設置なしや、玄関先で商品をお渡しする非接触配送方法の需要が増加したこと、また、給付金の配布によって、大型家具の配送が増加したという特需がありました。全体的には、巣ごもり需要の増加でEC事業の『ニトリネット』が2020年度の業績の下支えをしたという感じです」

 

 

 

(続く)