コロナ禍で荷動きが悪化したこともあり、一時期落ち着きを見せていたドライバー不足だが、再び深刻化してきた模様。「求人サイトで募集しているが、反応が全くない」。ドライバーが確保できない現状について、首都圏の運送事業者はこう嘆く。

 

同社では十数台しかないトラックのうち、「大型2台が乗り手がいないため遊んでしまっている」という。毎月のように求人を出しており、求人コストは年間で百万円単位に上る。しかし、「昨年は一人も採用できないどころか面接すらできなかった」という。辞めていくドライバーの補充ができないままに、いたずらに時間だけが過ぎていった。「遊んでいてもトラックの維持費は掛かる」ということもあり、同社ではやむなく車両売却を決断。「このまま採用できない状況が続くと、事業は継続できなくなる」と本音を漏らす。

一方、労働時間管理に取り組む運送事業者も、人手不足の影響をまともに受けているという。同社では現在、時間外労働に上限規制が設けられる2024年に向けて、労働時間の削減に取り組んでいる。「労働時間を守るには増員が不可欠だが、ドライバーが集まらないため、労働時間の削減に着手できない」のだという。「このままでは2024年までに間に合わず、既存のドライバーの離職につながるリスクもある」とこぼす。

長時間労働が業界の人手不足を加速させているとの指摘もあり、その改善も不可欠といえるが、改善するための人員確保もままならないとなれば改善が進まないどころか、八方ふさがりである。

人手が確保できないために改善が進まず、改善が進まないので既存ドライバーの負担が増し、そして辞めていく。補充ができないので辞めた穴を埋められず、また同じことが繰り返される。この悪循環は避けなければいけないが、とはいえ現況をみると、今後、人手不足によって事業継続を断念する事業者の増加が懸念される。