家電やホテル・病院向けのリネン類の配送事業などを手掛ける藤伸(藤川晃伸社長、広島市佐伯区)。安全を第一に品質や環境も重要視したさまざまな取り組みを長年続けている。

環境対策の一つとして10年ほど前から取り組むのは、タイヤのリグルーブ(溝の掘り直し)。ミシュランが推奨する技術で、摩耗したタイヤの溝を新品と同等の深さまで専用の工具で掘り直す、固いタイヤならではの再生方法だ。

「タイヤの使用年数が延びることは環境にも優しいし、コストダウンになる。ミシュラン製タイヤの導入前に比べて、リグルーブにより45%の経費削減につながった」と藤川久富会長は話す。

社内で整備管理者が施工するほか、ミシュランの提携販売先である広島日野自動車(松井勇二社長、同市安芸区)でも実施しており、技術を学んだサービススタッフが掘り直しを行っている。

また、品質向上策の一つとして、荷台の水漏れをチェックする装置を構内に設置。「7年前に家電の荷物事故が起きた。当時、幌ウイング車だったこともあり、豪雨で継ぎ目から水が入ったことが原因だった」(同会長)。

これを機に、スプリンクラーを使った装置を建築家に作らせ取り付けた。気象庁が「車の運転は危険」と定義する1時間あたり50mmの雨量に相当する散水が可能で、目に見えない穴や接続部の劣化によるすき間を見付けることができる。

水は防火用の雨水を利用するなど環境への配慮も。設置当時は荷主が多く見学に訪れ、近隣の架装メーカーが納車前のテストで使用したこともあったそうだ。幌車がなくなり、一時期より使用頻度は減ったものの、近年の豪雨災害が頻発する中で再び注目が集まる。

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