「安全衛生・品質・環境の三位一体の相乗効果によるさらなる品質の向上とともに、人材レベルの強化を図っている」と語るのは、アスト(石橋明社長、大阪市)取締役の米倉秀樹氏(安全環境部長)。同社は、石油化学製品を中心に海上輸送や陸上輸送、保管などを手掛ける社員数220人の総合物流会社だ。

1934年の創業から「安全・迅速・誠実」をモットーに、他社との差異化を図り発展してきた同社。1998年にISO9001認証を取得(認証機関JCQA)し、2008年11月にはISO14001認証(認証機関同)を取得。さらに、国際レベルの品質・安全確保を図る目的で2009年11月には、CDI─T(ケミカルタンクターミナル国際審査機構)の規格受審を完了し92%合格の適合を受け、受審後の適用で98%の高評価を維持している。

ISO9001を取得する際、記録を文書化する習慣を全社で徹底。コンピューターによる管理で本社に情報を一本化した結果、全社の情報共有化が実現し、大幅な経営効率化を可能にした。システムを向上させ、トレーサビリティ管理を行っている。

物流の品質向上のため10年以上にわたり行われているのが、自然災害を含むすべての事故の状況を、グループ内で共有する活動だ。事故の概況だけでなく、事故に対する対策も細かく執筆し、年に30回ほど発行している「SHEQSS情報」は顧客からも好評で、品質向上に一役買っている。「社員の健康管理や品質、セキュリティー、サービスなどの情報を加え運用している。グループ全体で共有しているので、一貫した教育が可能」(米倉氏)。また、安全品質を「見える化」するシステムの構築を進めている。

同社では今年3月に、北港ターミナルに新たなタンクヤード(3基)が完成。また6月にはLPGタンカー〝LILI CORAL〟が就航した。近年は、社員教育時に事故防止対策だけでなく、事故後の対応の要素も盛り込むなど、さらなる物流品質向上に余念がない。

米倉氏は、「創業当初からの理念、石橋社長の打ち出している方針のもと行われる、徹底した取り組みが当社の強み。認証を取得するからには1つの効果より2つ3つと高め、物流品質・環境負荷低減のレベルアップを行い他社との差別化を図っていきたい」とし、今後も総合的な安全衛生・品質・環境向上に取り組んでいく。

◎関連リンク→ アスト株式会社