中小企業にとっては、人手不足は深刻である。従って中小企業の経営者はどうあるべきか。

 

リーダーシップについて思いを巡らすと、経営者の人間性の中心に、使命感の存在がなくてはならない。社員の定着策を取り上げてみる。

給与、休日といった労働条件をよくすることや、企業イメージを高める努力は、いうまでもない。それよりも中小企業にとって重要なのは、トップのリーダーシップのあり方である。信頼感が高まっていくような指導力である。

「うちのオヤジは信頼できる」と社員が感じ、「うちの社員は必ずやってくれる」とトップが確信する信頼関係である。この関係は一朝一夕でつくられるものではなく、つくられても日々の不断の努力なくしてはこわれてしまう。

この努力は、利益の獲得のみではなく、人の育成を含むものである。社員の人間的能力や、実務能力の向上を心から願い、そのための環境づくりに勤しむのがトップの仕事である。中小企業の経営ポイントは、実践的な人づくりである。

ハシにも棒にもかからない、ポケッとした社員がひょっこり入社してきた。ポカッと無断で遅刻したり、休んだりする。仕事ぶりにもファイトが感じられない。辞めさせるのは簡単である。しかし、ここでグッと辛抱していくのがトップの本領発揮である。

「〇〇君、おはよう」と明るくあいさつし、声をかけていく。そしてこのポケッとした社員の心の中に飛び込んでいく。この社員はパチンコが趣味である。社長は、パチンコに付き合う。「〇〇君、仕事はおもしろいかい」と一杯飲みながらヒヤリングする。「そうか、そうか」とじっくり聞いてやる。

こうした積み重ねで、トップの願いを伝え、相手の心を開かせて相手の心に火をつけていく。それでも辞めていく例が多い。サイの河原の石積みのような空しさというか、徒労感をもつ時もあろう。その時トップのファイトをかきたてるものは何か。

「そんなにがっくりすることはない。今は私の片腕として活躍している彼だって、入社から3年間はポケッとしていたじゃないか。それがちょっとしたキッカケで仕事に自信をもってグーッとやる気を出してくれたじゃないか」

こうしたトップの考えを支えるのが、経営に対する使命感である。使命感なきリーダーシップは打算のみであろう。それでは、金の切れ目が縁の切れ目である。もちろん、お金は大切である。

しかし、企業経営には照る日もあれば、どしゃぶりの雨もある。打算のみで人を引っ張っていると、どしゃぶりの雨を乗り越えていく力が出ない。だからこそ、トップの使命感を強固にしていくことが大切な経営活性化の条件なのだ。