トラックドライバーや荷役作業員が日々活動する物流の現場。長年、その場所で仕事をしていると外部からはおかしいと思われるようなことでも気づかないということはある。また、現場を離れて久しい経営者などは、定期的に現場をチェックしなければ問題をすくい取れないという場合もある。

このような場合は、外部人材の活用が1つの有効な手段となる。数日から1週間程度、社内を視察してもらうことで、課題が浮き彫りになるというものだ。人材もコンサルタントというよりは、物流の業務を熟知しているリタイアした人材などを招くと効果的ではないだろうか。

また、運送事業者では、異業種からの人材を管理職などに迎え入れ、改革に着手している例もある。大阪府の事業者では、異業種の人材からの「なぜ、このような低い利益率で会社が成り立っているのか」という素朴な疑問に、ふと我に返ったという。

同社社長は「たしかに安い運賃でも、ここまでの品質を保ってきたのは企業努力としか言いようがない。しかし実際は、ドライバーが1人分以上の業務をこなし、管理職もすぐに乗務ができるようスタンバイしている状態、ということが少なくない。今後もそれを続けていくようでは、人材は離れていくばかり。異業種人材からの助言と標準的な運賃をきっかけに、荷主企業と交渉する勇気がようやく持てた。確かにコロナの影響で各社厳しいが、いま踏み出さなければ永遠に改善されない」と話す。

手積みばかりの現場、低い利益率など、物流現場の課題は各社それぞれだ。事業者が臆することなく立ち向かっていかなければ、現場が一向に改善されることはないだろう。