第315回:令和時代の運送業経営 評価制度設計編(115)
【評価制度設計編】115
「頑張る運送業経営者を応援します!」というシリーズで「令和」時代の運送業経営者が進むべき方向性、知っておくべき人事労務関連の知識・情報をお伝えしています。
今号も前回に続き「評価制度設計編」として時間外上限規制(2024年問題)への給与設計面での対応について解説してまいります(その10)。
1.等級テーブルを導入する際の留意点
評価制度の導入と併行し、賃金表・等級テーブルの設計が行われることもあります。中小運送会社では導入事例は少ないのが実情ですが、銀行系総合研究所やコンサル会社が関与した場合に評価制度導入と併行し、等級テーブルが設計されることがあります。
賃金表・等級テーブルを導入したものの、ドライバーの気質や運行の実態にまったく合っていないために廃止にしたいが、一度導入した制度をやめることはなかなかできないという運送会社が存在します。
原因としては、メーカーなどほかの業種で実施した等級テーブルを少しアレンジして運送会社に導入しているケースがほとんどだからです。
等級テーブルは、職務遂行能力が右肩上がりに上昇していくという仮説により、設計されています。しかしながらドライバーの職能は2~5年で上昇した後には横ばい・微増となることが一般的で、等級テーブルの設計コンセプトとリンクしていないと言えます。
また、平均勤続年数が数年と短いドライバーが多いという実態も、中長期的に処遇することを前提とした等級テーブルがフィットしない、ということになります。
等級テーブルがなくても基本給の昇給は可能ですし、個人の評価結果や損益状況により昇給額に差をつけることも可能です。等級テーブルを設計する際には、運送会社の実態に合っているか十分検討したうえで導入する必要があります。
2.今後の評価制度
大手引越会社の裁判例を契機に給与制度を変更し、評価制度導入を検討している会社は増えています。運送会社での評価制度導入は、難しさもあるため十分な検討が必要です。評価制度の運用は事務の手間がかかるので所長・管理者の業務負荷が大きくなります。
自社の歴史、理念、運行内容と見合っているか検討したうえで導入すべきと考えます。
