日本事故防止推進機構(JAPPA)の上西です。先日、高校で自転車事故について講演を行いました。そのなかでお伝えしたデータが、非常に重要なポイントを示しています。

まず、学年別の事故件数です。高校1年生が1349件、2年生が1144件、3年生が845件。つまり、1年生は3年生の約1.6倍と、圧倒的に事故が多いのです。

これは「経験の差」と「慣れ」です。通学ルートに慣れ始めた6月が特に多くなります。そして何より“予測力”がまだ弱い。この差が、そのまま事故件数に表れています。

さらに重要なのが、事故の中身です。自転車乗車中の死亡・重傷事故のうち、約75.4%が何らかの法令違反を伴っているというデータがあります。違反なしはわずか24.6%です。この数字が意味することは明確です。

事故は「運が悪かった」ではなく、「行動によって起きている」ということです。

では、現場で実際に多い事故は何か。最近、特に増えているのが、歩道から突然、車道に出てくる自転車との接触事故です。ドライバーからすると「急に出てきた」と感じる事故ですが、それは言い訳にはなりません。

歩道に自転車がいる。その時点で、「出てくるかもしれない」と考える必要があります。そして、その予測を現実の安全に変えるのが「速度」です。どれだけ注意していても、速度が高ければ回避はできません。逆に言えば、速度を落としていれば回避できる確率は大きく上がります。

特に高校1年生は、行動が読みづらい。だからこそ、“前提として危険”と捉えることが重要です。

事故は一瞬で起きますが、防ぐための準備は事前にしかできません。見えているものだけで運転するのではなく、「これから起きるかもしれない動き」を読む。この意識こそが、高校生の命を守る運転につながります。