「さらに長く仕事をしたい」という声が、特に運送業界から上がっています。新首相の「馬車馬のように働く」発言は、一部の人々、特に長時間労働を強いられている運転手たちから歓迎されました。SNS上では「働き方改革撤廃」を求める投稿が数万のいいねを集めるほどです。

 

しかし、この状況に矛盾を感じませんか？新政権は労働時間規制の緩和を指示し、厚労相も「過労死認定基準を踏まえた検討」という危険な発言をしています。同時に、最低賃金目標の事実上の撤回も行われました。つまり「収入を増やしたければ、命の危険と隣り合わせになるまで働け」というメッセージが政府から発せられているのです。

 

運転手の皆さんにとっては残念なお知らせですが、この業界での規制緩和は実現性が極めて低いと言わざるを得ません。その理由は明確です。まず、運転手向けの労働規制は2024年4月にようやく施行されたばかり。通常、法改正の見直しは施行から5年程度経過後に検討されるものです。

 

さらに重要なのは、現行の規制下でさえ運転手の許容労働時間は「月平均80時間の残業」と設定されていることです。これは医学的に「過労死リスクが高まる」とされる基準と同等です。すでに23年連続で労災認定トップの職種である運転手の上限をさらに引き上げれば、社会的批判は避けられないでしょう。

 

私たちが向き合うべきは、「もっと働かせろ」と求めざるを得ない経済構造の問題です。時間を削って健康を犠牲にしなければ生活できない現実こそが、解決すべき本質的な課題なのではないでしょうか。

 

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