ミスミグループ本社(大野龍隆社長、東京都千代田)の東日本流通センター(川崎市川崎区)では、生産性向上のため画像・計量デジタルピッキングカート(DPC)を開発・導入した。現場に合わせた取り組みが評価を受け、JILSの2025年度「物流改善賞」の「最優秀物流改善賞(物流業務部門)」を受賞した。この取り組みの中心となったのは、畑農恒介センター長と同センターユニットリーダーの宇敷祥太氏と上原英明氏だ。

 

同社は、機器部品の開発や他社製品の取り扱いを行う。膨大な量の部品を取り扱い、国内外に販売をしている。その流通を支えるのが国内に3か所ある物流センターであり、東日本流通センターはマザーセンターとして機能している。

 

膨大な種類がある部品をピッキングし、出荷できる状態にするには、時間と労力がかかっていた。課題の1つは、商品に個別のソースマーキングがないということ。2つ目は、高い集中力を求められる作業であること。例えば、ある部品を200個ピッキングする場合、一度数え、さらに間違いがないようにもう一度数え直す必要がある。

 

以前は熟練者が行っていたが、対策の必要性を感じていたという。そこで同社では、自社で画像DPCと計量DPCを開発した。
画像DPCと計量DPCの2種類あるのは、ピッキングする部品の形状などによって適正があるからだ。薄い金属を画像DPCでピッキングすると、重なってしまった時に1つとしてカウントされる。一方、計量DPCは商品の情報を事前に登録する必要がある。こうした2つのピッキング方法で相互補完をしているという。

 

DPCの導入に関しては、都度ミーティングの機会を設け、現場での意見を募集、改善を行ってきた。シフト制のため、マニュアルの作成や周知は大変だった。

 

2020年から計画を立て年々取り組んでいたが、昨年は生産性21%向上、人員44人削減、品質42%良化、デジタル化70%に至る大きな改善効果を達成した。人員については、これからの労働力不足に備え、ほかのポジションへの配置換えを行うことができた。

同社では今回の取り組みを経て、内製化による技術的ノウハウを習得できたという。現場力とデジタル技術を両輪に、物流DXを加速させ、物流モデルの変革に挑戦し続ける姿勢だ。

 

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