都心部で燃料電池車(FCV)トラックを見かけるようになったが、ディーゼル車と比較すると、充填ステーションの数が少ないことや車両価格が高いなどの課題がある。エコカーの中では、走行距離は小型の水素トラックは1回の充填で260km、EVトラックは1回の充電で100kmほどだ。運送事業者のなかには600km~800km走るFCVトラックに期待する声が多い。

 

こうしたなか、経産省のモビリティ水素官民協議会は水素ステーションの整備を重点的に支援する県などを選定していく予定だ。今年1月の第7回の協議会では、選定基準を、自治体の意欲を含め、車両の輸送トンキロ数が年間に50億トンキロ以上あり、都道府県内の高速道路での大型車走行台数が上下線合計1日1万台以上としており、さらに中核となる地域と周辺で連携する地域の取り扱いや充填地域間のつながりなども考慮していく。

 

経産省の取り組みに先駆け、現在、FCVトラックの補助金がおり、充填ステーションの整備が進んでいるのが東京・福岡・福島の1都2県だ。

 

F―LINE(坂本次郎社長、東京都中央区)は今年1月から福岡第一物流センターに、3トン小型FCVトラックを1台導入し、稼働を開始した。今回導入した車両は、福岡第一物流センターから主に福岡県糟屋郡、古賀市、福岡市東区、北九州エリア、筑豊エリアの一部地域の食品卸会社への配送に使用する予定で、年間約3584kgのCO2排出量の削減を見込めるという。

 

導入を担当したのはコーポレート・支援本部DXソリューション部長の荒田光弘氏(写真左)と、同本部調達グループ長の岩熊雅人(同右)氏。

「当社が所有するトラックは小型車よりも大型車の方が多いが、まだ水素トラックは小型がメイン」とし、大型のFCVトラックの導入に関しては、FCVトラックの開発・販売を手掛けるCJPT(中嶋裕樹社長、同文京区)の参画企業と検討中だという。

 

FCVトラックを使用する事業者として同社では、水素ステーションの少なさ、水素充填に時間がかかることなどを課題としてあげる。「ドライバーが充填場所や時間に焦り、運行のストレスになってしまうことが心配」と話す荒田氏。さらに、3トン小型車には水素が10kgほど入り260km走行できるが、現在の水素の価格は1kgあたり2000円と高額になる。

そのため、同社では今後、補助金が出る自治体があれば、新たな拠点への導入を進めたいとしている。

◎関連リンク→ F‐LINE株式会社