加工食品の中でも最大級の物量を全国に配送している清涼飲料業界では、物流の2024年問題を見据えて、物流課題改善に取り組んできた。実際に飲料企業はこれまでに、物流課題をどこまで改善することができたのか。コカ・コーラ社製品を製造・販売しているコカ・コーラ ボトラーズジャパン(カリン・ドラガン社長、東京都港区)に物流問題への取り組みを取材した。

日本最大のコカ・コーラボトラーとして、飲料製品の製造販売を行うコカ・コーラ ボトラーズジャパンは、物流の2024年問題が唱えられる以前の16年5月から、物流問題への取り組みとして、物流ネットワーク最適化「新生プロジェクト」を開始している。

 

同社の物流に21年近く携わってきたロジスティクス戦略グループ統括部の高木宏治グループ統括部長は「20年前は、無理を言って走ってもらっていた時代だったが、10年くらい前から車を集めるのが大変になり、無茶が通用しなくなった」としている。

そのような状況に対して同社では、物流ネットワーク最適化に着手。約70の物流拠点の統廃合や大規模な在庫削減、輸送効率の向上といった改善で大幅なコスト削減を達成するなど、色々な手を打ってきた。

約120台の大型トラックを保有する同社では、全体の約15%を自社で運んでおり、残りは協力会社に委託。自社配送は、全国17か所の工場から、ハブと呼ばれる全国20か所の物流センター(5000坪)や倉庫(1万坪)に運んでいる。

そのハブからさらにラストマイルの店舗配送や自販機配送を担う拠点が約200か所でそこまでの輸送は協力会社に委託している。その200か所から店舗配送も協力会社が4トン車や3トン車で運んでいる。

 

髙木グループ統括部長は、「2024年問題では、協力会社からの値上げ要請もあり、それに応えなければならない。当然、自社ドライバーの賃金も上がってくるので、生産性を高め、効率を上げることでカバーするのが私のミッション」と話す。

 

同社が取り組んでいる「新生プロジェクト」の成果について、「計画に沿って実現してきてはいるが、10年が経過して設計当初と同じことをやっていてもうまくいかない」とし、「状況にあわせて最善策を実行している」と説明。輸送キャパシティに対して、製造・販売計画を立てる取り組みを行っている。また、2024年問題を見据えた取り組みとして、ドライバー待機時間の削減へ2022年から「車両予約システム」を主要拠点へ導入している。

さらに、輸送距離を短縮するため、「地産地消モデル」を推進。多品種・小ロット生産に対応できる柔軟な体制を構築し、製品在庫の削減と物流の最適化を実現している。このほか、コラボプロジェクトの一環として、ファミリーマート社とトラック共同活用を実施。車両を2社で有効活用している。

 

◎関連リンク→ コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社