5月9日に和田山生涯学習センター(朝来市)で開かれた兵ト協・但馬支部(日下部昇吾支部長)の総会が滞りなく終了すると、続いて会員事業者でもある山本運輸(養父市)の山本洋介社長による講演会が始まった。同社は、今年の元日に最大震度7の大地震が襲った石川県能登半島の被災地に「移動式ランドリー車」を派遣し、一日も早く日常生活が取り戻せるように支援活動を続けている。

 

主力の一般貨物運送と一時保管のほかにライフスタイル、ゴムクローラー修理、環境対策事業などを手掛ける同社。移動式ランドリーサービス「COMOREBI」(こもれび)で使用するコンテナ(トレーラシャシー)は長さ6m、幅2.4m、高さ3.5m。2023年1月に事業再構築補助金の活用を申請し、同年4月の第8回公募で採択された。

「乗用車(北米トヨタのタンドラなど)で引っ張れるのがメリット。大きなコンテナだとトレーラヘッドの迅速な調達が難しく、被災現場に入れない可能性もある」と山本氏。コンテナの内部には乾燥機能を備えた9基の洗濯機が設置されている。災害時の支援活動に加え、平常時には道の駅やキャンプ場など幅広い利用が可能だが、オープンセレモニーからわずか10日後の昨年8月17日、台風7号による断水被害に見舞われた古里(養父市伊佐地区)に出動することになった。

 

能登半島への出動は地震の当日、協定を交わす同市から打診された。珠洲市への派遣指示が出たことで1月22日、自らの運転で被災地に向かった。避難所となった上戸小学校に同23日から3月24日まで設置し、その後は宝立小中学校に移動して地域住民らの支援を続ける。機械の保守管理もあることから、同氏もこれまでに1週間ほどの滞在を延べ6回繰り返してきた。

 

「川で汲んで浄化した水を自衛隊から分けてもらい、それを洗濯機に使用しているが(目詰まりによる)給水エラーが頻繁に出るなど、不具合も結構あった」と同氏。3月いっぱいは養父市の職員が運営に当たったが、4月からは珠洲市のシルバー人材センターや災害ボランティアら現地のスタッフに委ねられることになった。

 

同氏は被災地での活動状況を大まかに説明するなかで、東日本大震災や熊本地震の際に緊急物資輸送でトラックを出動させたことに触れるとともに「その先は何もできなかった」と、COMOREBIの事業化の原点を明かした。「現時点で6000人くらいの利用になっていると思うが、まずは被災現場に日常を取り戻すことが一番だと思う」と話す。

 

◎関連リンク→ 山本運輸株式会社