イーコース(菊竹玉記社長、東京都中央区)は、電動フォークリフトのバッテリーを非常用電源として有効利用するための情報提供サービス「電源ドナー」の開発を進めている。 同サービスは、東京都中小企業振興公社が、都市防災力を高める優れた技術・製品の実用化に要する費用の一部を助成する「先進的防災技術実用化支援事業」に採択されており、菊竹社長は、「東日本大震災から10年という節目の今年中にリリースできるよう、日夜、努力を続けている」と語る。

 

同サービスは、同社が開発した電動フォークの鉛バッテリーの状態を一元管理できるIoTサービス「点検なび」を活用。フォークのバッテリーの状態を15分ごとに集計し数値化するというもので、残量のしきい値を超えたり、異常があればメールで管理者に知らせる仕組み。「運用の効率化はもとより、『バッテリーが切れて、突然止まるのではないか』という不安も解消できる。独自技術で残量を常時計算しており、劣化による誤差も少ない」という。

また、充電状況が確認できる点が好評で、「管理者は電気代が割安になる深夜に充電させていたつもりが、現場では業務終了直後に充電を開始していたことで、深夜割が適用される前に充電が完了していたケースもあった」と話す同社長。「充電を忘れて放電時間が長くなれば、バッテリーの劣化に繋がる。管理者にメールで知らせることで、そのようなミスも減らせる」。

 

「電源ドナー」は、この「点検なび」の「いま、どこに、どれだけの電力があるか」という情報を活用。災害時に情報提供することに合意したユーザーを「電源ドナー企業」とし、大規模停電が発生した際に、地図アプリ上にドナー企業が提供可能な電力量や施設へのアクセス情報などを公開する。「スマホの充電や赤ちゃんのミルクのための給湯用電源として提供してもらう」とし、「従業員や近隣の住民の減災に役立つ情報提供も行い、SNSなどで広く発信していく」構想。

 

 

「自治体などが発行する防災マップには『給水拠点』の記載があるが、『給電拠点』も加えてもらえるようになりたい」と息を巻く菊竹社長。「バッテリーフォークは使っているが、敷地は開放できない』という声もあるが、物流センターの入場門の内側など、ちょっとしたスペースがあればフォークなら走っていける」。

 

同社長は「まだ開発段階」と前置きしながらも、「平時から、マップ上に電源ドナー企業の旗を立て、社名やPRコメントなどを掲載することでCSR活動としても展開できるようメリットも提供していきたい」と語る。

 

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