大原記念労働科学研究所(東京都渋谷区)は、オムロンヘルスケア(京都府向日市)のウェアラブル血圧計「HeartGuide」を、ドライバーの健康管理に活用する研究を進めている。北島洋樹副所長と研究員の石井賢治博士に話を聞いた。

日常のさまざまなシーンでの血圧測定を可能にする「HeartGuide」は重さ115gで、腕時計のように手首に巻いて使用。ウェアラブル型としては世界初の医療機器認証を取得しており、高精度な測定ができるのが特徴。

 

北島副所長は、「運輸業は、他業種と比べて脳・心臓疾患などによる過労死が多い」と現状を説明。その上で、「血圧は健康管理上の重要な指標のひとつ。全ト協の推奨で、会社備え付けの血圧計で出庫と帰庫時に測る事業者は増えてきたが、業務中に高くなることが問題」と指摘する。

 

同研究所では、同製品をトラック運送事業者のドライバー2人に2週間装着してもらい検証を実施。時間帯や作業内容による血圧の変化を確認した。石井博士は「装着し、こまめに測定することが、ドライバー自身の自覚につながり、血圧に良い行動を維持するようになるなど、健康意識も高まった」と効果を説明する。

 

同製品により、血圧の連続した測定データが得られるようになるのは「画期的」だという。「日中の血圧変動が分かるようになったことで、『この作業では血圧が上がるから、その後の休憩をこまめに入れよう、多めに水分を取って血管へのダメージを減らそう』などと、働き方を変える提案ができる」とし、「測定データを運行管理者が活用できるようになれば、よりドライバーの命を守る方向で配車計画も組めるはず」と展望する。

北島副所長は「現場の方にどんどん使っていただいて、健康を考えるきっかけにしてほしい。使う人が増え、データも増えてくれば、過労死を減らすなどのいい方向へともっと進められるはず」と語る。

◎関連リンク→ 公益財団法人大原記念労働科学研究所