アサヒグループの物流工程の川上で長年、物流改革を行ってきた児玉社長は、「かつては、川上で環境を変えたのになぜ川下で結果がでないのかと、もどかしく思っていた。今は立場が変わり、川下の工程に来てみて、絵に描いたようにすぐにオペレーションが組み立てられるような甘いものではないということを実感した。だからこそ、その壁を越えて実現したら大きな成果につながると、非常に生き甲斐を感じている」。

そして、注力すべきこととして「連携の加速」を挙げる。「物流会社のミッションを果たすためにはグループ内の事業会社と様々な連携をし、共同で課題解決する必要がある。これが縦の連携とすると、横の連携は同業他社や、卸企業、ユニバーサル機能を有する物流事業者、産官学等々。個社ではなく連携してサプライチェーンを効率化する。この縦横の連携を加速して2024年のトラック不足等の問題に対処する。トラックでの輸送力が今後10年で3割も減っていくことが想定されており、3割の効率化を社会全体でやらないと国内のモノが運べなくなる」という。

さらに、もう一つの注力事項は「コンプライアンスや安全の徹底」。また、一番にやるべきは「社員の飲酒運転防止の徹底」とし「飲酒運転撲滅の啓蒙DVDを急遽作り、社長メッセージを添えて社員全員に配布した。今までも愛車運動等に取り組んできているが〝ルールの順守〟を末端まで行きわたらせるためにビジュアル化し事故の再現ビデオ等、視覚に訴えていく。コンプライアンスでは下請法や偽装請負の領域。全国に約65の物流拠点があるが、徹底していない拠点にはきちっと踏み込んで管理体制を整えていきたい」。

業績については、「コロナ禍で全体需要が減り、我々が扱っている食品物流は業務用関連が非常に低迷。一方、巣ごもり等で家庭需要は堅調で、全体では2019年比で95%程度の推移。外食産業等から人が流れ軽作業に携わる人材は集めやすいが、トラックドライバーやフォークリフトの専門スキルを有するオペレーターはすぐにできる仕事ではないので物流労働力不足の構造は好転していない。コロナが明けて物量が増えてくると物流労働力不足や物流相場の引上げ圧力が急速におきてくることを見据えて、今のうちから効率化や連携の取り組みを加速する必要がある。トラックの輸送効率の向上や車両のシェアリングなど、連携を軸とした物流ビジネスモデルを作り、トラックや労働力が不足しても生産性や稼働率を上げて対応できる体制を作っていきたい」と熱く語る児玉社長は、住まいがある鎌倉の街を散策するのが好きで『鎌倉ウォーキング』と名付けている。

「寒くなると出掛けなくなるが天候が良ければ鎌倉から江の島辺りまで、朝から一人で散歩をする。鎌倉は観光客が多いので、早い時間に寺社仏閣やハイキングルートを見学したり散策したり。鎌倉には坂が多く運動にもなる」。そして何よりも健康の秘訣は「家内が出してくれる野菜スープを毎日残さず食べること」と笑顔を見せる。

 

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