物流施設を開発・運営し、欧米やアジアでも事業を展開する日本GLPはこのほど、元日に発生した能登半島地震の被災地支援として、支援物資の運搬を担当する大手運送会社と協力、その支援物資を供給するための門前倉庫の空きスペース提供を同社メルマガで呼びかけた。

 

全国約170の開発・運営施設数の実績を持つ同社のネットワークを生かし、普段メルマガを配信している物流・倉庫業者、約2万5000の配信を通じて協力を呼び掛けたところ、わずか1日で100社近くから反応があったという。このようなネットワークを生かした災害支援は、同社では初の試みとなる。

 

同社営業開発部でマネージャーを務める飯田一樹氏は、「当社のテナントである大手運送会社から、支援物資の一時保管の拠点として、被災地付近で倉庫を探すのを手伝ってもらえないかという相談があった」と経緯を語る。同運送会社とは、防災協定を結んでいた背景もあった。

 

メルマガで協力を呼び掛けると運送、倉庫、メーカー企業等から反応があり、約1万3000坪分の空きスペース情報を収集。その後は、大手運送会社の被災地への救援物資輸配送にこれらの情報が活用される。

 

「埋もれてもおかしくない一斉メールに、しっかり反応してもらえたことは本当にありがたい」と飯田氏。「連絡をくれた企業の方から、何かできることがあれば何でも言ってと言われ、ここまで協力的に捉えてくれるんだなと感謝の気持ちでいっぱいだった」と続ける。

 

同社ではこれまで全国31の施設で各自治体と災害時協力協定を締結しており、合計約1万8000人が避難可能だ。地域住民の緊急時一時避難場所や、救援物資の輸配送拠点としての施設提供など、有事の際の多面的な施設の活用推進に取り組んでいる。

 

飯田氏は、同社が開発・運営する大規模多機能型物流施設「ALFALINK」 について、「テナント企業同士による共創を掲げ、一社では解決が難しい課題に取り組んでいく考え方が浸透しており、テナントの皆さんの連携意識が高まっていることを感じている」と今回のスムーズな連携体制の背景に言及した。

 

ほかにも、同社グループであるGLP財団による義援金協力の呼びかけをはじめ、1月16日には、入居テナントである佐川急便とともに災害時協力協定を結ぶ千葉県流山市(石川県能登町と姉妹都市)からの協力要請に応え、被災地への支援物資輸配送を連携して支援した。

 

飯田氏は、「有事の際に自分が力になれることは、人生でそんなにできる経験ではない。その機会にこうして携われたことは、災害を自分事として捉えられるきっかけとなる出来事だった」と振り返る。

 

同社では今回の事例から、ネットワークを生かした災害支援の構築やBCP対策のさらなる強化に取り組んでいく。

◎関連リンク→ 日本GLP株式会社