ブラザーエンタープライズ(名古屋市瑞穂区)は、トヨタ自動車と協業し、暑さ対策と省エネを両立したフォークリフト用スポットクーラー「PureDrive(ピュアドライブ)ーFL」を開発した。コスト削減だけでなく、フロンレスで環境にも配慮している。

フォーク稼働時の強い衝撃や振動に対し、JIS規格に準拠した耐性も確保している同製品は、フロンレスに加え、排熱レスも実現。熱交換器を用いた間接気化と冷却エレメントでの直接気化の2段階冷却を採用することで、暑い日ほどよく冷え、自然に近い形の涼しさを提供する。「使用いただいたドライバーさんからは『涼しい!』と驚きの第一声が多い」と語るのは、営業部の中嶋友和氏(写真右)。「想定以上の涼しさを提供できているのでは」と自信をのぞかせる。

 

 

省エネ設計で消費電力は60ワット。同氏は、「家庭用のエアコンは1000ワット以上になるとも言われているが、当製品はフォークのバッテリーを傷めることなく、稼働時間への影響も最小限」と胸を張る。「導入時に必要な配線工事も半日程度で、簡単に設置できる」という。

 

ブラザー工業(同)の開発センター新規事業推進部で主任研究員を務める吉田茂樹氏(同左)は、「開発当初は座席の後ろに設置していたが、積載時に後ろに進むことが多いフォークの安全面を考慮し、ヘッドガードへの設置に変更したため、小型化にも注力した」とし、「実証実験を繰り返し、試行錯誤の日々が続いた」と振り返る。

「頭上に設置する設計としたことで、ダクト吹き出し口がオペレーターの首元付近にあたる配置になり、より涼しさを感じられるようになった」とも。「暑さ指数で27℃以下を実現しており、夏場の過酷な環境でも十分な暑熱対策として認められている」と説明。また、「ミスト方式ではないため、大切な荷物を濡らす心配もない」とも。

 

「今年4月の販売開始から、引き合いも多くいただいている。デモ運転では、涼しさに満足いただき、好評を博している」と目を細める両氏。「倉庫全体を涼しくするためにかかるコストと消費エネルギーは莫大。必要な部分だけにスポットで設置することで、省エネやコスト削減にも寄与できる。ぜひ活用いただきたい」と呼びかける。

 

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