皆さんこんにちは、日本事故防止推進機構(JAPPA)理事長の上西一美です。

前回は、「もらい事故」から運転者の行動を変える大切さを伝えました。今回は、その背景にあるものは何か? そんな話です。
運転者は「もらい事故」の場合、相手の過失に注目するため、自分の過失に目が向かず、結果、自分の運転の改善点に気づかない、それが次の事故につながっていきます。このような心理の背景には何があるのか? それは、事故を起こした運転者を責任追及するという会社の体質なのかもしれません。

人間は誰でも責められると言い訳し、自分の正当性を主張したいものです。特に、相手の過失割合が高い場合、より相手の過失に注目し、自分の運転行動の正当性を主張することで、自分の立場が守れるのです。

そのような防衛本能は、「事故をしたら会社に怒られる(責任追及される)」という心理が大きく働いているからだと推測されます。交通事故を起こした運転者に最も大切なことは、自分の運転の問題点に気づき、改善することです。
事故を起こした運転者と面談する際、管理者はそのことを意識しないと面談は成立しないのですが、責任追及する傾向が強い管理者が多いのも事実です。

そのような体質で運営されている企業では、事故を起こした運転者は、言い訳や相手の過失を前面に出して、自分の立場の保全に全力を尽くすのです。

ぜひ、責任追及ではなく、運転行動の改善に導く問題解決を意識した指導や面談を行い、交通事故の再発防止に努めて下さい。