トラックドライバーにも労働時間の上限規制が適用される2024年4月まで1か月を切った。各運送会社では荷主との交渉や業務の見直しを進めるなど対策を進めてきたが、国民生活を支えるサプライチェーンを守るには荷主企業の取り組みが欠かせない。今回は飲料分野における対策を取材した。

サントリー食品インターナショナル(小野真紀子社長、東京都港区)はグループ会社であるサントリープロダクツ(吉村孝博社長、同区)の高砂工場(兵庫県高砂市)にペットボトル飲料の製造ラインと物流倉庫を新設し、西日本エリアの生産能力および物流機能を強化する。同工場は西日本エリアにおける生産および物流能力を大幅にカバーすることが期待されている。

これまでサントリーグループは他業種との共同物流やモーダルシフト、中継輸送を駆使してトラックドライバーの長時間労働対策や、温室効果ガス排出量削減に取り組んできた。しかし、東日本エリアと西日本エリアの生産量の差から、どうしても東日本から長距離輸送で西日本エリアに供給する商品があるという。

そこで、高砂工場のラインと物流設備を増築。西日本エリアの生産力と物流能力を強化することで西日本エリアの地産地消体制を強化、長距離輸送を削減する方策を取ることになったという。

竣工・稼働予定の2026年には生産量は年間3500万ケースから4600万ケースに増加。保管量も150万ケース(3万パレ)から250万ケース(5万パレ)へと増加する見通し。これにより今後も伸長が予想されるお茶、コーヒー等の小容量ペットボトルの中長期的な安定供給を図ることに加え、関東エリアから西日本エリアへの長距離トラック輸送量を従来より約50%削減、また、年間のCO2排出量は約3700トン削減できる見込みだ。

同社担当者は「物流2024年問題は今年だけの課題に終わらない。より長期的な対応が必要だと想定している。高砂工場の効果を見ながら、今後も全国のお客様へ安定して商品をお届けできるよう地産地消を進め、GHG、物流課題の克服に向き合っていく」と話す。

◎関連リンク→ サントリー食品インターナショナル株式会社