「私が入社したのは昭和48年。前々回の30周年史を出すタイミングだった」と述懐するのは原田和充氏(岡山県貨物運送社長、岡山市北区)。同社は昨秋、創立から80年の歴史を記した社史を刊行した。「編纂に携わることで、あらためて創業時の社会情勢や運送業界の事情などに触れることができた」と話す。

 

これまでに3回の節目で社史を作っているが、直近は50年史。「長く間があいてしまい、いまやっておかないと作業がさらに難しくなる思いもあった」と社内8部署から責任者のほか、女性や若手社員も加えた21人による編纂委員会(同委員長)を設置。編纂作業には、月間の社内報「親和」を創刊した1954年から協力を得てきた西尾総合印刷(同区)の担当者も加わった。

「従来の社史は活字が多く、読まれることなく書棚に眠るのでは…との懸念もあった」と、今回は写真を多用した“目で見るオカケンのガイドブック”として作成。全107ページには、その時代を映す貴重な写真が収められている。関係先や各事業拠点に送付したほか、これまで蔵書の実績がある国立図書館をはじめ、県や市の図書館などに届けられている。

 

前回の刊行から30年というブランクは大きかったが、そこで役立ったのが社内報。「会社の記録をたどる唯一の手段でもあった」と、印刷会社に保管されていた大量のデータが生きた。ただ、社内報に落とし込む段階で白黒写真となったものも多く、「今後は写真をカラーで残すこと、施設の竣工式や車両納入の様子なども、どこかのクラウドで保管するような体制にしたい」と、大変だった作業の経験を次に生かしたい考えだ。

 

◎関連リンク→ 岡山県貨物運送株式会社