第十六話.岡野、仕事を探す。

 ――365日。いや、四百日以上か。
 年中無休、休みなし。毎日十八~十九時間、ぶっ通しで働いた。
 正月だろうがお盆だろうが、全部無視して仕事にあてる。
 病気をしても休めない、そんな状況だった。

 埼玉県の伊奈町を出発し、埼玉~東京~神奈川~埼玉~茨城~埼玉、そして伊奈町へと戻る、ルート配送。
 走行距離、四百キロ。

 今ではあり得ない状況だが、当時はそういう仕事も本人次第で出来た時代だ。
 若かったから出来たことでもあるのだろうが、兎に角馬車馬のように働いた。

 だが、最初の頃こそ、順調だったのだが、少しずつ雲行きが怪しくなってきた。

 仕事が徐々に減って来たのだ。
 仕事が減れば、当然稼ぎも減る。

 一日三万円だった報酬が、気づけば一日二万円にまで減っていた。

 ――いや、待って?
 一日三万円やるつってたじゃん?
 三分の一減るとか酷くね?

 このままじゃヤバイ。
 考えて、考えて。

 ……よし。自分で仕事を取って来よう。
 仕事がないなら、仕事をくれる所を探せばいい。
 トラックドライバーは、物流の要だ。
 物流を担うトラックドライバーは、生活必需品。無くてはならない、無くならない仕事だ。
 スーパーに商品を卸すのも、コンビニに商品を卸すのも、市場から市場へ食材を運ぶのも、トラックドライバーの仕事。
 熱意もやる気も人一倍の俺だ。
 仕事はすぐに見つかると思っていた。

 となると、やっぱあれだよな。
 飛込みで仕事を貰うなら、偉い人に交渉しなくちゃいけない。
 名刺は必要だ。
 早速俺は自分の名前だけを入れた名刺を作り、それを持って配達の合間に運送会社に突撃をした。

「すみません! こういうものですが、仕事下さい!」
「……ぁ? 何言ってるの。ダメダメ、帰った帰った」

 鼻で笑われ追い返される。
 一瞬で玉砕してしまった。
 くそぅ。流石にそう簡単にはいかないか。

 だが、めげないのは俺の強みだ。
 交渉するのも俺は得意だ。
 負けるもんか。

 コンビニの配送、工場、見かければ飛び込むが、どれもこれも一蹴される。
 なんでだ。
 まともに話すら聞いて貰えない。

 手ごたえを中々感じられないまま、時間だけが過ぎていく。

 そんなある日。
 その日も、たまたま運転中に食品工場が目に留まり、よし、っと意気込んで突撃をした。

「すみません! 仕事下さい!」
「なんだテメェ! 何しに来やがった!!」

 ひぇっ!?
 なんか、凄い剣幕でめちゃくちゃ怒鳴られた。

 ――え。なんで??

 

to be continued…


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次回更新は10/2を予定しています。 お楽しみに!