運行管理者試験の特徴と対策をご紹介

基本的には暗記の試験

私自身、受験対策をした実感として、じつに9割以上が暗記の試験と言ってよいと思います。もちろん例外もあります。たとえば、事故防止の方策として 有効な手法を選択肢の中から選びなさい、というような問題は、暗記では対処できない問題の一つですが、全体の中では少数派です。また、計算問題などは 公式を覚えていなければならず、これは結局のところ暗記に近いものがあります。暗記を嫌がらないのが、出発点です。これから運行管理者としてやってい くために必要なことを、頭に叩き込むのだというマインドセットをしてください!

さて、暗記の内容として最も重要なのが、数字です。とりわけ「、1日の乗務時間は何時間まで?」とか「、車幅は最大何メートルまで?」といった数字の暗 記を要求される場面も多く、これが合否に直結します。たとえば車高「3.8メートル」までという規制について、あえて0.1メートル数字を変えて「3.9 メートル」や「3.7メートル」として間違った選択肢として実際に出題されているので、これらは割り切って暗記するしかありません。こうした問題を見る 限り、ざっくりこのくらいという覚え方では対処できないわけです。したがって、重要な数字は、語呂合わせを使ってでも覚えなければなりません。逆に、そ れさえできていればかなりの数の選択肢を瞬殺することができ、得点源となっていきます。できれば、過去問で出たことのある数字はすべて覚えて臨みま しょう!暗記は苦手という方もいらっしゃるかもしれませんが、あえて誤解を恐れずに言えば、試験の時だけ覚えていればいいのです。受け終わったらき れいに忘れてもいいくらいのつもりで、試験日を暗記の最高潮に持っていくべきです。そのあとの実務は、試験ではないので、わからなければ調べることも できますし、重要な数字は自然に覚えていくものと思います。私は、数字が出てくる部分については、テキストを縮小コピーしたものを持ち歩いて、移動中 などに何度も見て確認していました。読者の皆様にもおすすめです。

過去問の重要性

過去問と全く同じ選択肢が繰り返し出題されています!全く同じでない選択肢でも、過去の出題と似たものが多く、たとえば、文章を裏返しにした選 択肢にして、以前の正解肢を今度は誤りの肢に変えたりしながら、やはり繰り返し同じ内容が問われています。このため、最低でも過去3回分を模試の ような感覚で時間を計って解いておく必要があると思われます。また、制限時間の感覚も大切です。これは、バラバラに問題を解いていると忘れがちな ので、一度、本番の試験と同じ90分を感覚として持っておくことが重要です。

ところで、過去問の中でも、古い問題を練習する際は、法改正に注意する必要があります。そこで、古い問題を検討するときも、古い年度の本を使うの ではなく、改訂がされている本に載っている問題を使えば安心でしょう。前述した「数字」についても、ひっかけのパターンなどは、過去問での問われ方 を一つの基準にして、その範囲で繰り返し覚えていくのが良いと思います。もう一度言います。過去問は必ずやってください!

6割取れば合格

6割正解すれば合格できる試験です。完璧主義にならないでください!私もそうでしたが、この試験は、仕事をしながら受験される方が多いと思います ので、効率よく学習する必要があります。満点を狙っていくことは全くお勧めできません。ざっくりと全体を7割~8割の完成度に仕上げることが重要だ と覚えておいてください。とくに、最初にテキストを読むときは、7割がた頭に入ったと思ったらすぐに次の分野に行きましょう。全体を終わらせてから少 しずつ精度を上げていくのが得策です。その意味で復習のウエイトが高いといってもよいでしょう。なお、全体で6割の基準のほかに、分野ごとに最低正解 数(実務知識問が2問、その他の分野は1問)があることからも、まんべんなく学習し、全体の精度を徐々に上げていく学習方法をお勧めする次第です。

さいごに

以上、試験の特性と対策についてざっと書かせて頂きました。合格率も、貨物・旅 客ともに約3割前後で推移しており、3人に2人は落ちるという意味では決して 容易な試験とはいえません。しかし、正しく対策すれば誰でもいずれは合格する ことが可能と考えております。学習についてお困りの際には、個別にアドバイス を差し上げることもできますので、ぜひトラバスにアクセスしてみてください!

著者紹介

横浜国立大学法科大学院客員准教授一般社団法人トラバス理事 橋本 信行氏

橋本 信行(はしもと のぶゆき)

1982年 神奈川県横浜市生まれ
弁護士・横浜国立大学法科大学院客員准教授一般社団法人トラバス理事


2013年1月に弁護士登録し、以後6年間、民事事件を中心としてさまざまな問題解決にあたる。とくに、交通事故案件については、被害者側・加害者側ともに多数の紛争を処理。2016年からは、横浜国大の客員准教授に就任し、現在も弁護士業務の傍ら教鞭をとっている。2017年、一般社団法人トラバスの理事に就任し、同法人の各分野の専門家たちと協力しながら、セミナー、執筆、法的部門の相談対応等の活動を担当している。