今回は2024年4月に改正される「改善基準告示」について解説いたします。

「改善基準告示」とは自動車運転者の労働条件の向上を図ることを目的に自動車運転者の拘束時間や運転時間、休息期間等に関する規制を定めたものです。正式名称は「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年労働省告示第7号)」と言います。

法律ではなく、厚労省や国交省が行う行政指導の基準となるもので、懲役や罰金等の罰則はありません。
しかしこの基準に違反すると車両停止や事業停止、悪質な場合は運送業の許可取り消しなどの重い行政処分を受けることがあり、運送業の経営に大きな影響を与えます。

さて、この改善基準告示が2024年4月から改正されることが決まり、2022年12月に公布されました。その改正内容は多岐にわたりますが、特に重要な改正点を挙げると以下のとおりとなります。

まず年間の最大拘束時間が3516時間以内から3300時間以内に大幅に短縮されました(但し、労使協定を締結している会社の場合は3400時間まで延長が可能)。
ここでいう「拘束時間」とは「労働時間」に「休憩時間」を加えた時間であり、会社が実質的にドライバーを拘束している時間のことです。年間だけでなく、月間および1日の拘束時間も同様に改正され、従来の月間293時間以内が月間284時間以内に短縮され(但し、労使協定を締結している会社は310時間まで延長が可能)、1日の最大拘束時間16時間が1日最大15時間に短縮されました。



また「休息期間」についても改正され、従来の休息期間8時間以上から9時間以上(「11時間与えるよう努める」の努力規定が追加)となりました。
「休息期間」とは勤務終了後から翌日の始業までの仕事から完全に解放された自由な時間のことです。休息「時間」ではなく「期間」を使い、「休息期間」と言います。休息期間は分割して与えることが可能とされており、今回の改正によって休息期間を分割する場合は1回あたり継続3時間以上、合計10時間以上にすることが決まりました。

また「連続運転時間」については、従来通り4時間が限度となりましたが、途中の「運転中断」の時間について「1回が概ね連続10分以上、合計30分以上」が必要とされ、運転中断中の時間については原則休憩とすることが決まりました。

2024年4月の施行まで、まだ1年以上も時間がありますが、その間に運送会社は荷主等の関係先と「2024年問題」への対策を話し合い、法改正や新基準に合わせた業務の進め方を検討していくことになります。ドライバーの皆さんの働き方にも影響を与える今後の法改正や新改善基準告示の内容について解説いたしました。