共配・幹線輸送、保管と食品物流に関わる事業を手掛ける芸北急送(竹本昭法社長=写真中央、広島市西区)は、2024年問題の対応としてドライバーの拘束時間の短縮を目指し、さまざまな取り組みを重ねている。

 

特に注力するのは労働時間管理のシステム化だ。約100人のドライバーにGPS機能付きのスマホを支給し、デジタコのデータと共に同社独自のシステムに反映。作業の状況をスマホから入力できるなど、徹底した労務管理につなげる。

 

給与体系も数年前から段階的に見直しを進めており「基本給を上げ、みなし残業から実際の残業時間制に移行して、能力で評価する体系に変えている」と竹本社長。同システムの導入で残業を1分単位での管理に変えた。業務管理部の伊藤仁一部長は「システム化で、運行計画とその管理をさらに徹底することが重要」と気を引き締める。一方で、ドライバー一人ひとりにシミュレーションを提示し、理解してもらうことも忘れない。

 

また、3月には一部の車両を積み込み先に近い車庫に変更した。以前は約20キロ離れた営業所から積み込み先に赴いていたが、車庫を近付けたことで往復1時間半の運転時間と拘束時間の短縮に。社長は「運送会社は価格競争から法令順守第一の姿勢に変わらないといけない」と強調。このほど適正化実施機関のOBをアドバイザーとして迎え入れたことからもそれが伺える。

 

なお、同社は昨年4月、食品物流大手のF―LINE(本山浩社長、東京都中央区)と資本提携。両社間で人材交流があり、「提携で新しいことをたくさん知り、刺激になる。未来が見えてきた」と社長は落ち着いた表情で語る。

 

社内では若手の育成も進み、20代前半の従業員が倉庫作業を経て免許を取得し、今では大型車に乗務。この従業員の紹介で入った友人も同じキャリアを積みたいと日々仕事に励んでいるという。

 

今後は人材確保面でも「当社の良さを前面に出せるHPに刷新できたら」(部長)。社長は「育成や確保にもF―LINEのネームバリューやノウハウを生かしたい」と話している。

 

◎関連リンク→ 芸北急送株式会社