ドライバー不足や燃料高騰への懸念が続いている。これまで賃料が高いとされていた首都圏の物流施設だが、輸送効率や労働力確保の面から注目が集まっている。

「首都圏の物流施設は2027年に需給逆転する。2027年を境に倉庫床の取り合いになる」と話すのは、物流倉庫の「2027年問題」だと訴えるアライプロバンス(東京都墨田区)の新井太郎社長。同社は総合不動産業として、「アライプロバンス浦安」や「アライプロバンス葛西(AP葛西)」といった大型物流施設を手掛ける。

 

「民間レポートによると、2020年前後がまさに物流倉庫建設ブームで、2023年は物流倉庫の最大級の供給のあった年。マルチテナント施設の供給は2027年にピークの2023年から8割ほど減少すると予想されている。一方で、旺盛なEC需要を背景に、首都圏における倉庫需要は伸び続けており、需給逆転は時間の問題」と話す新井社長は「首都圏物流倉庫2027年問題」と名付け、問題提起している。

 

背景にあるのは建設費の高騰で、「デベロッパー各社は物流倉庫を建設しても採算が合わないとの判断から、軒並み建設計画を中止していると聞く」と同社長。

 

「今からAP葛西を建設するとしたら建設費が当時の2倍はかかると建設会社に言われた。建設費が上がれば賃料に転嫁するが、物流施設の賃料はホテルの宿泊料のように急激に上げることはできない」。

 

今年4月から物流事業者・荷主に物流統括管理者(CLO)の設置が義務付けられているのは、物流全体を効率化していくべきだという方針だ。「これまでは高い賃料を嫌い、安い賃料を求めて郊外へと目がいった傾向にあったが、需要地である都心から遠くに保管地を借りると、今度は輸送費がかかる。結果トータルで物流コストが高くつく。ドライバーの成り手不足や労働時間の制約があり、輸送力の確保は難しいのが現状だ」という。

 

さらに「物流事業を全体で見た効率化が必要。物流施設の選定も物流効率化の方法の一つ」とし、同社長は「物価高で物の値段が上がっている中、物流は板挟みになって我慢を強いられてきた。物流改革と同時に、荷主や消費者が適正な輸送運賃を負担する流れは必然だ」と話す。

 

同社長は2016年にECの台頭による「物流クライシス」を知り、「物流は重要な社会インフラだと改めて感じた。江戸川・葛西の保有地をマンションや商業施設などに区画を割って使うのではなく、葛西に約1万5000坪ある『奇跡の広大地』を物流施設として使うことは、自分たちの利益だけでなく、100年社会に貢献できる事業だと思った」と当時の想いを語る。

 

同社では「アライプロバンス葛西」に隣接している5000坪の遊休地に商用車向けの駐車場を設けたが、「こちらは空きが出ないほど人気。都心の不動産高騰の影響で、運送業界では都心部の駐車場が逼迫していると改めて感じた」と同社長は語る。

 

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