「魅力」を科学する―東大教授が切り拓くAI感性研究の新地平
「この服装、あと何点足りないの?」—企業がAIの実用化に奔走する中、学術界では人間の感性そのものを解析する挑戦が始まっています。東京大学の山﨑俊彦教授は「魅力工学」という独創的アプローチで、言語化しづらい「センスの良さ」や「心惹かれる理由」を数値化する研究に取り組んでいます。2025年9月18日の「生成AI Days 2025」で紹介された同氏の研究は、私たちの主観的判断の背後にある法則を解き明かそうとしています。
あなたが「素敵だな」と感じる写真や絵画。その評価を下す際の無意識の判断基準とは? 山﨑教授の研究チームは、SNS投稿の「いいね」予測から一歩進み、芸術作品の魅力度を点数化するシステムを開発しました。このAIは単に評価するだけでなく「コントラストを強めれば20点アップする」といった具体的な改善提案まで行います。まさに、職人の「匠の技」をデジタル化する試みと言えるでしょう。
「2匹目のドジョウを狙える」—山﨑教授はこの言葉で研究の本質を表現します。成功が偶然ではなく再現可能なパターンであることを科学的に証明し、創造性を支援するのが目標なのです。観光ルート設計の研究では「段差の少ない道がいい」「地元の食事を楽しみたい」「予算内で効率よく回りたい」といった多様な要望を満たす最適解を生成するAIを実現しました。この成果は国際会議で最優秀論文賞を獲得しています。
「AIは包丁のようなもの」—山﨑教授はこう例えます。どんなに高性能な道具でも、使い手の技量と素材の質が決め手になるというわけです。生成AIが普及する今こそ問われるのは、テクノロジーを使いこなす私たち自身の知恵と責任感ではないでしょうか。恐れるのではなく、共に進化する関係性を築くことが、これからのAI時代の本質なのかもしれません。
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