NLP協同組合 トラックや拠点をシェア、異業種共配を開始
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日本全体の流通に関わる構造改革を目指す運送事業者と倉庫事業者の有志が集まり、昨年9月に設立されたNLP協同組合(津崎悠二代表理事、滋賀県野洲市)は7月から、異業種による共同配送をスタートさせた。
現在、北関東から九州までの8組合員からなる同協組は、2024年問題によるドライバー不足や運行コストの増加について、「1社の企業努力で課題を解決することは不可能」ととらえ、組合員各社の車両や拠点、人材、ノウハウをシェアし、長距離便の中継輸送やシェアリングプラットフォームの開発、共同購買、動態管理システムの提供などに取り組んでいる。
そして、このほどスタートさせたのが異業種による共同配送で、第一弾として、アイリスオーヤマと東レプラスチック精工の貨物で実施。アイリスオーヤマが静岡県裾野市の工場から兵庫県三木市の物流センターまで輸送する飲料水と、東レプラスチック精工が静岡県駿東郡清水町の工場から兵庫県三田市の工場まで輸送する自動車部品を、同協組の組合員のトラックで共同配送する。
これにより、積載率が80%以上に引き上げられ、年間走行回数は約半分に削減、ドライバーの運転時間は約30%削減されるという。また、CO2排出量は約15%削減されると試算する。
今回の取り組みに対して、両社と同協組は協議会を立ち上げ、意見交換を重ねてきた。東レプラスチック精工三島工場 事業本部購買物流部の守田昌人次長は、「2024年問題で長距離輸送での運行時間の制限の問題から、既存の物流価格の高騰があり対策に悩んでいた。NLP協同組合の力を借りて、アイリスオーヤマ様と事業開始まで持っていくことができた。今後も、いろいろな方面の輸送や納品先特有の納品方法の課題があるので、異業種との協業や情報交換を含めて進めていきたい」とコメント。
アイリスオーヤマの物流部ロジスティクス管理室運行企画課運行管理チーム統括付の田中寛之氏は、「飲料水の増産計画もあり、今まで通りの輸送の手配が困難になっていることを感じていた。2024年問題について、NLP協同組合とは2年前から輸送方法の意見交換をしてきた。異業種共同幹線輸送という、通常では交わらない製造企業様と協業でき、発見が非常に多かった」と述べ、「NLP協同組合とは、引き続き目的と手段を明確にして一緒に模索し、目的を踏み外さないように取り組んでいきたい」との思いを語った。
津崎代表理事は、「今後、静岡→神戸への往路だけではなく神戸→静岡への復路便も、さらなる異業種での輸送を検討し、参加企業と協議を重ねていきたい」と抱負を述べ、今後のビジョンとして「生産性を向上させて、社会全体の車両数の削減を実現したい。また、異業種で積載率向上に取り組むことで、新たなモデルを作り上げていきたい。そして、ドライバーの所得向上を実現し、ドライバー創出のきっかけにしたい」と力強く語った。
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