給与や手当の充実図るも7割超が「ドライバー不足」 山形県物流実態調査

山形県は、2024年問題に関する県内の物流業界の実態を把握するため、荷主や届け先となる製造業・小売業ついて調査を実施。4月21日に結果を公表した。
山形ト協377事業所を対象にしたアンケート(回答数203件、回収率53.8%)では、2024年問題について「影響はない」の回答が28.1%で最多。次いで「影響が出ている」(24.6%)、「今後影響が出る可能性がある」(21.2%)、「影響はあったが対応済である」(19.2%)となった。
具体的な影響内容は、「荷主等との交渉の発生」が全体の43.8%で最多。次いで、「人材確保の難化」(42.7%)、「長距離運行等の見直し・廃止」(32.6%)となった。
2024年問題に対する取り組み策としては、「賃金を含む労働条件・労働環境の見直し」が51.7%で最多。次いで「ドライバーの確保・育成」(51.2%)、「運行計画の見直し・効率化」(47.3%)、「荷主等との運賃や荷待ち時間削減等の交渉」(41.4%)となり、労務管理や人材確保に取り組んでいる様子が見られた。
荷主等との交渉については、「運賃・経費値上げ」の回答が39.9%と最多。次いで「荷待ち時間削減」(25.1%)、「付帯業務削減」(23.6%)。交渉状況については、「円滑に進んでいる荷主等と進んでいない荷主等がある」が最も多かった。
一方、ドライバーの人手不足感は、「やや不足している」(49.8%)と「大変不足している」(21.2%)を合わせた割合が7割を超えた。
採用状況は、「求人を出しても、求職者が集まらない」が48.3%と最も多く、次いで、「近年は求人を行っていない」(16.9%)、「求職者はいるが、求めている人材とマッチしない」(14.9%)が続いた。
採用上の工夫としては「給料・手当の充実」が44.8%と最も多く、次いで「大型免許取得の支援」(42.4%)、「勤務時間帯について柔軟に対応」(33.5%)。14.3%の事業所は特別な工夫を講じていなかった。
生産性向上については、「デジタル化やDXの推進等による生産性向上」を行っている事業者は6.9%にとどまった。
このアンケート調査に加え、国のレポートや統計資料などに基づく文献調査、特徴的な取り組みを行っている事業所と荷主・業界団体に対する面談調査を実施。
これらの結果を踏まえ、同県は「荷主事業者に対する標準的運賃やガイドライン等の周知徹底」「物価高騰対策支援」「物流コスト低減のための政府への働きかけ」「免許取得・法定講習等支援」「DXに関する経営層の意識改革」などを取り組むべき施策とした。