青果物物流DX推進協議会(中嶋剛登会長)は3月11日、「ベジロジシステム実証報告会」をオンライン併用で開催。今回、21団体・企業、40人が参加した。中嶋会長(千曲運輸社長、長野県小諸市)は、「当社が長野県で青果物物流に携わり今年で57年。状況が変わらない、解決が難しい業態」としたうえで、自らが構想した、高鮮度保持とデータ共有を主軸にする「ベジロジ・ナカジマメソッド」について解説した。

青果物物流は、出荷時間が天候に左右されることや荷待ち時間、紙伝票の扱いが課題となる一方、鮮度保持のため、当日収穫・当日予冷・当日発送が必須で、現場は急な変更や追加納品に対応してきた歴史がある。

2024年問題で従来の物流形態の課題が浮き彫りとなるいま、中嶋会長は大前提である当日発送から、翌日発送への切り替えを提案する。そのための取り組みとして、物流・商流のプラットフォーム構築、高鮮度冷蔵倉庫などの活用を促した。

事務局報告では、これまで実施されたベジロジシステム実証として物流情報の一元管理とスマホアプリの実装の成果に、トラックごとの積み荷情報と位置情報の連携が卸売市場での検品準備の効率化につながったことなどを報告した。

さらに卸売業者基幹システムとの連携開発、JA(農協)・全農とのデータ連携検証へと範囲を広げた。

今年度の取り組みでは、JAながの志賀高原総合集出荷センターの出荷青果物を、卸売市場のセントライ青果北部市場に配送する検証を実施、卸売市場の効果としては、効率的な荷受けや荷待ち時間改善などに加え、早期出荷情報把握による販売強化や業務コスト改善などがあがった。

産地側としては、出荷情報の連携で、卸売市場が早期に出荷情報を把握でき青果物販売がしやすくなり、問い合わせによる業務負荷も軽減された。

トラックの到着情報把握により集荷情報効率化を実現し、パレット受け渡し情報のリアル更新で棚卸時の数量に差異が生じないなどのメリットも報告された。

ベジロジシステムとは
青果物の物流情報の一元管理を可能にするシステム。運送会社・車番、産地、等級、数量、出荷通知書明細のデータ化と伝票を呼び出すQRコードの実装で、荷物受け渡し時は、スマホでQRコードを読み込み、表示された納品データ画面をタップして受領が確定する。